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情報の整備や価格の透明性向上など、流通システム改革へ「5つの柱」示す/不動産流通市場活性化フォーラム

 国土交通省は22日、「不動産流通市場活性化フォーラム」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の第6回会合を開き、6月にとりまとめる提言(概要)案を発表した。

 提言(概要)案は、取引にあたって消費者の求める情報が適時的確に提供されていない、不動産事業者等が消費者ニーズに十分応えていないという流通市場の課題を解決することで、市場の活性化を図るため検討すべき項目を、有識者の意見を踏まえ、実現可能性にこだわらず盛り込んだもの。大きく(1)円滑な不動産取引のために必要な情報の蓄積と提供、(2)消費者ニーズに対応できる不動産流通システムの整備、(3)不動産流通業者の活性化に向けた環境整備、に分類した。

 (1)には、物件情報の充実、価格情報の提供の方法、住宅の燃費に関する情報提供の仕組み、情報蓄積・開示方法の統一化や標準化、消費者に分かりやすい提供方法のあり方などを盛り込む。(2)は、宅地建物取引業者の総合コンサルティング機能の向上や、インスペクション、既存住宅売買瑕疵担保保険など専門事業者の育成、価格査定の見直し等による価格の透明性向上、流通を契機としたリフォーム提案、流通市場活性化のための金融支援などを盛り込む。(3)は、仲介事業者の資質向上、既存住宅瑕疵保険やリフォーム瑕疵保険の普及促進などを挙げている。

 また今回、提言に盛り込む「不動産流通システム改革のための5つの柱」として、「消費者にとって必要な情報の整備」「不動産の価格の透明性の向上」「先進的な不動産流通ビジネスモデルの育成・支援と成功事例の普及」「宅地建物取引業者及び従業者の資質の向上」「住み替え支援など多様な手段による既存ストックの流動化の促進」を示した。

 これらの案に対し、参加した委員からは「提言は消費者に分かりやすい文言で説明すべき」「重要事項説明書の見直しにも言及すべき」「リフォーム業者の格付けではなく、リフォーム物件の格付けをしてはどうか」「インスペクションによりバッドインフォメーションが明らかになってしまうと、一時的に流通が阻害されないか」といった意見が挙がった。また、「提言に基づいた施策をどう展開していくかを示さないのか」という意見もあったが、同省は「フォーラムは議論の場であり、いただいた意見の具体的な施策の展開については、課題ごとに今後委員会や研究会などを設け検討していく」(土地・建設産業局不動産業課長・野村正史氏)とした。

 フォーラムは、今回の提言案に委員からの意見を加えた提言案を、6月の第7回会合で発表する予定。


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