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大阪・堺で「ネットゼロエネルギー」実現する戸建団地を竣工/パナホーム

「パナホーム スマートシティ堺・初芝」1期分譲地のまち並み
全戸に家庭用燃料電池「エネファーム」を導入。4.0kW以上の発電量を持つ太陽光発電と合わせ、昼間のピーク時でも系統電力購入なしで生活できる
住戸で発電・使用するエネルギー量や水の使用量などをモニター表示。省エネをマネジメントするHEMS「ECOマネシステム」も導入

 パナホーム(株)は、スマートハウスとタウンマネジメントを組み合わせた新たなまちづくり「パナホーム スマートシティ」の初弾となる「パナホーム スマートシティ堺・初芝」(堺市東区、総戸数58戸)の第1期を竣工。29日、報道陣に公開した。

 「パナホーム スマートシティ」は、2012年度から同社の戸建分譲事業「街まるごと事業」の中核に据えたもの。エネルギー自立型のスマートハウスと、時と共に価値を高めるまち並み設計、快適な暮らしを支えるタウンマネジメントを組み合わせ、50~100戸規模の戸建分譲によるまちづくりを行なう。まち並み設計ガイドラインを採用し、ゆとりある住環境や景観を維持。年月を経ても高い資産価値を維持することを目指す。また、太陽光売電による収入の一部を植栽の管理に充て、まち並みの維持向上を図っていく。

 「パナホーム スマートシティ堺・初芝」は、南海電鉄高野線「初芝」駅徒歩9分、総面積約1万9,000平方メートルの高校跡地を野村不動産(株)と共同開発するもの。58戸すべてが、最大発電量4kW以上の太陽光発電パネルと家庭用燃料電池「エネファーム」を搭載したW発電仕様としているのが特徴。昼間の電力消費ピーク時でも、ガスによる自家発電と太陽光発電で、系統電力を購入せずに済む。

 光熱費・水道使用量をモニターし、最適な利用を促すECOマネシステム、全居室へのLED照明、EV充電屋外コンセントなどを導入するほか、地熱を利用した「エコナビ搭載換気システム」も採用。1990年代の同規模団地と比べCO2排出量を63%、エネルギー消費も56%ダウン。さらに、W発電により、全戸でCO2収支プラスマイナスゼロ、まち全体でネットゼロエネルギー(消費エネルギーを創出エネルギーが上回る)を実現する。

 1期15戸は、土地面積115~162平方メートル、延床面積101~124平方メートル。販売価格は、4,450万~5,669万円。今年2月から販売を開始し、13戸が販売済み。2期10戸も、6戸が販売済み。環境問題への関心の高まりと、東日本大震災以降のエネルギー問題が追い風になっているという。また、3期以降については蓄電池の導入も検討している。

 同日会見した、パナホーム代表取締役社長の藤井康照氏は「12年はスマートハウス元年になるのは間違いないが、未だに『これがスマートハウスだ』という定義はない。当社のスマートハウスは、パナソニックグループの最新環境省エネ技術、自然と触れ合い家族の絆が深まる仕掛け、災害に強い構造、健康を考えたきれいな空気など、50年の家づくりノウハウを活かし、『これがスマートハウスだ』という住まいを提案していく」と抱負を語った。

 なお「パナホーム スマートシティ」は現在、兵庫県芦屋市で108区画の開発・販売を進めているほか、神奈川県藤沢市、千葉県浦安市、宮城県仙台市などでも100戸規模での開発を準備中。同社は、同事業を核に15年度分譲住宅売上高1,000億円超えを目指す。


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