住友不動産(株)は、マンション工事現場から出た残土を使ったレンガを独自開発。今後、マンションやビルの外構などに活用していく。
同製品は、マンションに導入する新商品や環境対策などを総合的に研究・開発している同社の製品開発室が6年前から検証してきたもの。1現場当たり1,000~3,000立方メートルも発生し、改良した上埋め戻さなくてはならないマンション建設残土を再利用することで、処分土の減少、処分までに発生するCO2(主に運送トラックの排気ガス)の減少、処分コストの削減などを目指し、平成21・22年度の国土交通省「住宅・建築関連先導技術開発助成」を受け開発を進めていた。このほど「シティハウス仙川ステーションコート」(東京都調布市、総戸数91戸)の建設残土を使った、実用試作品が完成。同マンションの外構に採用した。
同社が開発したのは、東京城南西エリアの地盤の主力となる「関東ローム層」の残土をベースに、砂と石灰を加え、製造装置で混練・圧縮する技術。CO2排出抑制のため焼成はしないが、石灰の配合率や混練方に工夫を凝らし、外構使用には耐えられるだけの強度を確保した。製造装置は、マンション建設現場に持ち込めるほどコンパクトなものとした。
また、同レンガは、天然素材を押し固めただけなので、一定の年数を経過した後、元の土に還るという特長もある。生の土を固めただけの近代レンガの実用は、国内初。大きさは10cm×10cm×6cm。残土1立方メートルで、700個製造できる。
同社製品開発室主事の辻村義弘氏は「本来、このような製品は、ゼネコンが開発すべきだが、資源循環型社会におけるディベロッパーの使命として独自開発した。強度や劣化時間、土の産出地による性質のバラツキなど課題も多いが、これらを検証した上で、今後開発するマンションやオフィスビルの外構などに積極的に導入したい」と抱負を述べている。