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消費者保護強化へ、「宅建従事者」向け資格の創設を/全宅連

 (公社)全国宅地建物取引業協会連合会はこのほど、「教育研修制度のあり方に関する研究会」(座長:岡本正治弁護士)の中間とりまとめを公表した。

 同とりまとめは、2011年度の不動産総合研究所調査研究の一環として行なわれた調査の一つ。宅地建物取引主任者の重要事項説明等による消費者保護が図られているにもかかわらず、消費者トラブルが減少しない原因の一つとして「宅建業に関わる人材全体の資質向上が図られていないこと」を挙げ、消費者が不動産取引の際、まず接することになる「宅建従事者」に重点を置いた人材育成の観点から、体系的な教育研修制度のあり方の検討を行なうべく研究会を設置したもの。

 とりまとめでは、宅建従事者に対する現行の教育研修制度の問題点を(1)研修対象を広く想定しているため、受講者のレベルに応じた研修が不十分、(2)一般従事者を対象にした研修が希薄、(3)会社の代表者、宅建主任者が受講するカリキュラムがほとんどで一般従事者の受講が少数、などとし、宅建主任者資格を持たない一般従事者への基礎教育などを行なう教育研修制度が必要と指摘した。

 また、過去に実施された「宅地建物取引業従業者研修登録制度」が、初期の狙いよりも活用されなかった理由として「制度活用のインセンティブが欠如していたこと」を挙げ、従事者研修にあたっては、受講者個人への「認定資格」や、従業員を受講させる企業への「優良事業者認定」などが必要と指摘。全宅連の公共性をもって、一般従事者を対象とした全国共通の研修を行なう必要性を訴えた。

 同研究会は、今年度も一般従業者向けの教育研修制度の早期実施に向けた具体的な検討を行なっていく。


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