ジョーンズ ラング ラサール(株)(JLL)は22日、「グローバル・キャピタル・フロー(2012年第1四半期)」と題したレポートを発表した。
今期の世界の商業用不動産への直接投資額は、770億ドル(前年同期比▲21%)と減少。そのうち、クロスボーダー取引(国外不動産の取引)は39%にとどまり、2010年第3四半期以来最低の水準となった。
都市別の投資活動ランキングでは、日本は大規模な2件のロジスティクス案件によってクロスボーダー投資額が大きく増加し、取引額ランキング3位(前年同期:4位)となった。一方、地域別にみるとアジア・パシフィック地域では、日本と香港での取引額増加にもかかわらず200億ドル(前年同期比▲28%)と最大の下落幅を記録した。また、日本の投資家はアジア・パシフィック地域外の欧米市場に着目している点を指摘した。
なお、取引額ランキングで1位となったのはロンドン(前年同期:2位)。前期の活発な投資活動や、フランスの税制優遇措置が終了したことのほか、多くの中東投資家がロンドン市場へ向かったことにより、前年1位のパリから奪回する形となった。また、単発の大型取引により、トロントとオスロが取引額世界10位以内に登場している。
同社のアジア・パシフィック・キャピタル・マーケット統括のスチュアート・クロウ氏は、「アジアにおける不動産への関心は依然として高いものの、当四半期は一部の投資家が『様子見』姿勢へと転じた。ただし、巨額の流動性資金が投資先を求めているため、2012年下半期には大きく状況は転換するだろう」とコメントしている。