国土交通省は28日、「不動産流通市場活性化フォーラム」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の提言を発表した。
提言では、取引に当たって消費者の求める情報が適時的確に提供されていない、不動産事業者等が消費者ニーズに十分応えていないという流通市場の課題を解決することで、市場の活性化を図るため検討すべき項目を有識者の意見を踏まえ検討したもの。実現可能性にこだわらず幅広い提言を盛り込んでおり、大きく(1)円滑な不動産取引のために必要な情報の蓄積と提供、(2)消費者ニーズに対応できる不動産流通システムの整備、(3)不動産流通業者の活性化に向けた環境整備、に分類している。
(1)では、住宅履歴の整備、住宅の燃費に関する情報提供の仕組み、物件囲い込みの防止などレインズシステムの透明化など、(2)では、宅地建物取引業者の総合コンサルティング機能の向上や、インスペクション、既存住宅売買瑕疵担保保険など専門事業者の育成、築年数を基準とした建物評価基準の見直し等による価格の透明性向上、流通を契機としたリフォーム提案、流通市場活性化のための金融支援、(3)では、不動産仲介事業者の資質向上に向けた教育研修制度の充実、既存住宅瑕疵保険やリフォーム瑕疵保険の普及促進などを盛り込んだ。
また、今後の政策展開に向けた「不動産流通システム改革のための5つの柱」として、「消費者にとって必要な情報の整備」「不動産の価格の透明性の向上」「先進的な不動産流通ビジネスモデルの育成・支援と成功事例の普及」「宅地建物取引業者および従業者の資質の向上」「住み替え支援など多様な手段による既存ストックの流動化の促進」を示した。
同省は、これらの意見を政策に反映させるため、さらなる議論の場を設ける。8月をめどに、具体的なテーマ等を明らかにする方針。