6月27日開催の定時総会で(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長に再選した伊藤 博氏が3日、専門紙記者と会見。今年度の事業計画等について抱負を述べた。
伊藤会長は、今年度以降の事業のあり方について、「公益法人化したことで、消費者を意識した公益活動を中心としながら、会員向けの業務支援の充実を図る」という基本姿勢を示し、今年度の重点事業として(1)消費税増税への対応、(2)会員業務の支援、(3)従業者向け研修の強化、(4)組織拡充などを挙げた。
消費税増税への対応では「増税が必要なことは理解できるが、住宅・不動産の増税は、経済的打撃があまりにも大きい。全宅連では消費税率5%以上の部分については全額還付するよう求めており、業界団体の足並みも揃ってきた。ただ、今のユーザーの年収では、購入時の増税分の負担にも耐えられず、購入を諦めるケースも出てこよう。増税分還付がベストではない。将来的には非課税が理想的」と語った。
会員業務の支援では、「公益法人化したことで、共益事業が手薄にならないよう、今年度新たに一般財団法人を設立し、会員業務支援事業を行なう」とし、「各都道府県宅建協会の業務支援組織とバッティングしないよう、全宅連会員のスケールメリットを生かしたサービスを検討していく」とした。
従業者向け研修については「従業者が勉強する意欲が湧き、実務に活かせる研修とするには、評価する制度が必要」とし、全宅連独自の資格制度を検討。カリキュラム等の中身を検証するため、早ければ今年度中にも試行する考えを示した。
また、組織の拡充については、会員数が10万社を割り込む現況について「入会数は減っていないが、景気の低迷、後継者不足等で退会数が増加していることから、後継者の育成が喫緊の課題。実務者の研修制度などで若手を育成することも、会員数維持に寄与するはず」としたほか「宅建協会のなかには、開業セミナー等で成果を上げているところもある。公益法人である『ハトマークブランド』を打ち出しながら、こうしたセミナーを全宅連が推進していくことも必要だ」とした。