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木密地域を再開発。埼玉・川口で地域の防災拠点となるマンション/東急不、三井不レジ

「サウスゲートタワー川口」完成予想図
タワーマンション内には、5フロアごとに備蓄倉庫を設置。備蓄品目も、東日本大震災を受け変更している
モデルルーム室内。タワーマンションの利点を活かし、住戸形状はほぼスクエアとし、廊下面積を減らすことで実質有効面積を増やしている

 東急不動産(株)は22日、三井不動産レジデンシャル(株)と共同で開発を進めている複合タワーマンション「サウスゲートタワー川口」(埼玉県川口市、総戸数360戸(非分譲13戸))のモデルルームを報道陣に公開した。

 同物件は、JR京浜東北線「川口」駅徒歩9分に位置。両社を参加組合員に、2006年からスタートした「川口金山町12番地区第一種市街地再開発事業」の中核となる建物。住宅を中心とするタワー棟と、商業・業務棟で構成する、地上31階地下1階建てのタワーマンション。敷地面積は8,544.19平方メートル、延床面積は4万1,830.26平方メートル。

 再開発地は、工場や木造住宅が密集していたことから、これら住工混在市街地の整備と道路拡幅、緊急車両用通路の整備などで地域の防災力をアップ。両社は、同市と帰宅困難者等の受け入れに関する協定を締結。帰宅困難者の非常時一時滞在受け入れを可能とした。

 建物1階に、帰宅困難者用の備品を備えた防災倉庫を設置するほか、タワー棟にも5フロアごとに備蓄倉庫を設置。非常用マンホールトイレやかまどベンチ、防災テント、1世帯当たり最大約880リットル(1週間分)の水の確保、1,950リットルの燃料を備え72時間稼働する非常用発電機など、災害時の備えを強化している。

 商業・業務棟には、次世代産業育成施設や商業施設、クリニックモール等を開設。タワー棟1階には、園庭付き子育て支援施設を併設する。総開発面積の約26%を緑化し、商業・業務棟の屋上に入居者専用の屋上庭園を設置することで、コミュニティ形成を図る。また、エネルギー見える化システム、10kwの太陽光パネルによる共用部電力の供給などにより、CASBEE総合評価で星4つを取得している。

 建物は、鹿島建設(株)の制震装置を採用したほか、地盤を締め固めるサンドコンパクション工法を導入。住戸は2LDK~4LDK、専有面積は55~100平方メートル。モデルルームは、9月8日にオープン。11月中旬から販売を開始する。販売価格などの詳細は未定。

 同日会見した東急不動産住宅事業本部プロジェクト事業部の柴田 篤氏は「東日本大震災を受け、非常用発電機の発電容量強化、備蓄品目の再考、サンドコンパクション工法導入などを行なった。住戸は専有面積65~70平方メートル台のコンパクトなものが多いが、ほぼスクエアな住戸形状と廊下面積の少ない間取りなど、実質的な居住性能を高くしてある。再開発のスケール感、エコ、そして防災対策を前面にアピールしていきたい」などと語った。


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