国土交通省が20日に発表した「平成24年都道府県地価調査(基準地価)」について、業界団体・各社のトップから以下のようなコメントが発表された。
■(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 伊藤 博氏
■一般社団法人不動産協会理事長 木村惠司氏
■(社)不動産流通経営協会理事長 袖山靖雄氏
■住友不動産(株)代表取締役社長 小野寺 研一氏
平成24年度の都道府県地価調査の結果は、住宅地・商業地とも全国平均、3大都市圏とも依然として下落傾向を示したものの、その下落率は縮小しており、上昇・横ばいの地点も増加するという結果となっており、明るい見通しが出てきている。これは、日本経済がデフレから脱却して景気が回復するために、本会が実施してきた、国民に対する良質な住宅の供給促進に資する施策についての提言活動の成果が出ているものと考えられるが、依然として地価の下落が続いていることから、一層の努力をしていく所存である。
先般の閣議決定された「日本再生戦略」で挙げられた、不動産流通市場とりわけ『中古住宅流通市場活性化の実現』のためにも、行政の強力な旗振りと不動産業界あげての協力、消費者の理解等一体となって取り組む必要があり、本会もその実現に努めるため各種重点事業を策定し、実施している。
また、本会では、国土交通省の不動産流通市場活性化フォーラムに委員を派遣して、中古住宅の流通市場の活性化を図るための意見具申を行うとともに、平成25年度の税制改正では、消費税引き上げに伴う住宅取得への配慮として、税率引き上げ分の住宅取得者に還付する制度の創設や住宅用家屋に係る登録免許税の軽減措置などの適用期限を迎える各種税制特例の延長を提言している。
さらに住宅ローン控除制度など既存住宅に係る各種軽減措置の適用要件の緩和についても提言を行なっている。今後も不動産流通市場の活性化策の提言を通して、低迷する日本経済の回復に尽力していきたい。
今回発表された都道府県地価調査では、全国平均では住宅地・商業地とも下落したが、下落幅は縮小し、上昇・横ばいの地点も増加した。
首都圏の新築マンション契約率は引き続き70%を上回る堅調な販売状況を持続しており、賃貸オフィス市場については、空室率の低下の兆しが現れるなど、不動産市場に回復傾向が見られる。
このような回復の動きを確かなものとするためにも、住宅・都市分野における成長戦略を加速していくことが必要であり、政策運営を停滞させることなく進めて頂きたい。
とりわけ、住宅投資は内需の柱であり、消費税率引上げ時に、住宅取得に係る税負担をこれ以上増加させない措置を講じることが不可欠であると考えている。
地価は、住宅地、商業地ともに平成23年調査に比べ全国平均で下落幅が縮小した。
特に三大都市圏においては、都心部に加え、交通利便性の高い地域を中心に、上昇や横ばいに転じた地域が広がりを見せるなど、変化の兆しもうかがわれるものの、圏域全体では、過半の地域で依然として下落が続いている。
また、地方圏では、地方ブロックの中心都市等で、上昇、横ばいの地点の増加も見られるようになっているが、その他の地域では、ほぼすべての地域で依然として下落しており、本格的な回復に向かっているとは言えない状況にある。
このように、全国レベルでの地価動向をみると資産デフレ状況は長期化している。デフレ脱却に向け我が国の経済の活性化をさらに強化していく必要があり、このためには、国民生活や経済活動の基盤である住宅・不動産市場を持続的に成長させていくことが不可欠である。
特に、中古住宅流通市場の拡大は、「中古住宅・リフォームトータルプラン」及び「不動産流通市場活性化フォーラム」において提言されているように、我が国の今後の内需拡大の柱の一つとして、大きな期待が寄せられており、中古住宅流通を促進する税制等住宅投資に対する幅広い政策支援を要望したい。
今回の地価調査では、横ばいないし上昇に転じた地点が増加したほか、半年前の地価公示との比較でも、下落率が総じて縮小しており、地価の底入れを示す結果となった。
東京のオフィスビル市場では、耐震性をはじめ防災機能が優れたビルへの移転需要に加え、拡張ニーズも徐々に増えつつある。大型ビルの成約賃料は下げ止まり、一部では上昇に転じている。また、低金利が続き、分譲マンションの販売は依然として底堅く推移、マンション用地の価格も強含みとなっている。都市部では、地価はすでに上昇しているというのが実感で、この回復感が今後の地価調査にも反映されてくるだろう。
欧州をはじめ世界経済は混沌としており、国内景気回復の足取りは遅い。景気回復とデフレ脱却のため、地価の安定化は不可欠であり、政府には住宅需要刺激策の継続、拡充を期待したい。