(株)富士経済は20日、「国内の住宅エネルギー設備機器の採用動向調査」を発表した。「創エネルギー住宅」(以下、創エネ住宅)が普及する一方、「オール電化住宅」が急減する実態を調査し、次世代住宅・スマートハウスの標準化を巡る最近の傾向と将来動向を分析、長期的な市場構造の変化を予測したもの。調査対象は全国10地域の電力会社と都市ガス会社、LPG・石油系燃料供給事業関連企業、各県LPガス協会、大手ハウスメーカー、マンションディベロッパーなど。調査期間は2012年4~8月。
創エネ住宅(太陽光発電システムと家庭用CGS[エネファーム+エコウィル]を併設する住宅)市場は、12年度が推計32.3万戸(前年度比14.1%増)で、95%が太陽光発電設置住宅の見込み。しかし、東日本大震災後は太陽光発電のニーズ拡大と、既築分野の電化リフォームの急減により既築分野の太陽光+オール電化のセット需要が減少しており、20年度には創エネ住宅が87万戸(11年度比3.1倍)に達すると推計。これはオール電化住宅数39.2万戸の2倍以上という予測。
住宅ストック市場でも、創エネ住宅が約600万戸、普及率は11年度の2.4%から11.7%にまで拡大する予測。太陽光発電も全住宅の10戸に1戸の水準まで普及するほか、家庭用CGSも全住宅の約3%まで拡大すると見込んだ。エネファームは、太陽光とのダブル発電採用が一般化し、既築分野での採用も進むと分析している。
オール電化住宅市場は、12年度が48.2万戸(前年度比1.9%増)、20年度が39.2万戸(11年度比▲17.1%)と減少していくと推計。東日本大震災以降、原発事故・電力需給の逼迫などを受けて電力各社が大々的なPR活動を止め、オール電化を訴求する機会が大幅に減少した影響によるもの。関東地方では都市ガス供給エリアを中心に電化リフォーム件数が半減し、他の地域でも軒並み前年度比6~7割に減少した。11年度後半から12年度にかけては電力需給が逼迫する西日本の電力各社によるオール電化営業組織の縮小や、電化機器に対する販売奨励金の廃止などが加わり、電力需給が安定するまで市場は回復しないと予測する。
スマートハウスは、主として創エネ住宅とのセットで、今後も創エネ住宅に省エネ・節電機能が付加された最上位の住宅として普及すると予測。本格的な普及は創エネ住宅が定着する20年度以降としている。