大和ハウス工業(株)は3日、国立大学法人東京大学に寄贈する「東京大学大学院情報学環学術研究棟」の建設工事に着工したと発表した。
同建物は、鉄骨造地上3階地下2階建て、敷地面積40万3,416.09平方メートル、延床面積2,709.53平方メートル。最先端のユビキタスコンピューティング技術(実空間の状況認識技術)によるスマートビルで、空間に存在するあらゆるモノや人の状況を自動認識。クラウドサーバーのデータと連動し、環境の最適化、セキュリティ、エネルギー消費の最適化等を行なう。同社では研究の成果を事業に役立てていく方針。
東京大学大学院情報学環のユビキタス分野の研究拠点とするほか、デジタル技術を活用した建築アーカイブ施設を設置し、「情報学環・Daiwaユビキタス学術研究館(仮称)」として使用する予定。館内には、研究室・教室のほか、世界最先端の技術を導入し、実物大の虚像展示を可能とする空間物アーカイブプレゼンテーションルーム「ユビキタス空間物アーカイブ・ギャラリー(仮称)」や、さまざまなイベントなどに対応可能な全126席の「情報学環・ダイワハウス石橋信夫記念ホール(仮称)」を設ける。
東京大学大学院情報学環教授の坂村 健氏が監修した温度・湿度などを自動検知する「環境モニタリングシステム」や自分の場所を自動認識できる「ユビキタス場所情報インフラ」を導入する予定。意匠・設備設計は、東京大学大学院工学系研究科教授の隈 研吾氏が担当した。
同日会見した同社代表取締役会長の樋口武男氏は、「創業者の石橋信夫は、世の中の役に立つこと、喜んでもらえる事業をしなければならないといつも言っていた。この精神を実践するべく、次の世代を担う人材の育成や、日本全土の発展を目指して、施設を寄贈することにした」などと述べた。
建設費は約11億円、竣工は14年3月を予定している。