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スマートシティ社会実証参画の「パークホームズ大倉山」が竣工/三井不動産レジデンシャル

「パークホームズ大倉山」外観
エントランスホールに設置されるMEMSモニター。共用部の電力使用状況を見える化することで、居住者の節電行動につなげていく
蓄電容量25kWという大容量のリチウムイオン蓄電池を設置。MEMSのコントロールにより、電力のピークシフトに使われるほか、災害時には共用部に電力を供給。防災センターとなるコミュニティルームの非常用コンセントから、携帯電話の充電などに活用できる

 三井不動産レジデンシャル(株)は、地域と連動したエネルギーマネジメントシステムを導入した分譲マンション「パークホームズ大倉山」(横浜市港北区、総戸数177戸)を竣工。16日、報道陣に公開した。

 同物件は、東急東横線「大倉山」駅徒歩6分の社宅跡地に建設される、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造地上7階建てのマンション。経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証事業」において、分譲マンションとしては初めての実証プロジェクトとして採択。その一環として、地域エネルギーマネジメントの構築とCO2削減を目指した横浜市の「横浜スマートシティプロジェクト」に参加。2年間にわたり、社会実証実験を行なう。

 社会実証実験は、エネルギー利用の最適化に最も有効な手法を検証するのが目的。居住者に(1)消費電力の見える化を通じた省エネ行動を取ってもらう、(2)見える化に加え、節電の協力をお願いするメッセージを送り、省エネ行動を取ってもらう、(3)見える化に加え、節電の協力を依頼するメッセージを送り、HEMSでエアコン、給湯器を自動的に制御する、の3つのグループに分け実証。電力需要の集中が予想されるなど、協力依頼を行なう期間についてあらかじめ仮想電気料金を設定。この料金と省エネ行動を取った後の実際の電気料金との差額を、居住者に実験協力金として支払う。

 その舞台となる同物件は、太陽光パネル20kWによる「創エネ」に加え、東芝製リチウムイオン蓄電池25kWをマンションで初めて導入。夜間や災害時などに電力供給を行なう。マンション共用部のエネルギー消費をコントロールするMEMS、住戸内のエネルギー消費量を「見える化」するHEMSに加え、東芝が開発する地域全体のEMS(CEMS)が連携。マンション内のエネルギーの最適化を図る。

 このほか、環境に配慮した電気自動車カーシェアリングや業界初のレンタカーの宅配システムを導入。カーシェア用の電気自動車からマンションに給電するシステム(V2H)により、災害時のバックアップ電力を確保する。

 住戸は、2LDK~4LDK、専有面積は55~89平方メートル。三井住友建設が開発した「SuKKiT3工法」を導入。梁のないすっきりとした室内空間を実現した。11年11月から販売され、すでに完売している。

 同日会見した、同社横浜支店開発室主査・小松原 高志氏は「この物件は、当社が現在進めているスマートレジデンスの確立に向けた、エコフラッグシップモデルとして、さまざまな取り組みを盛り込んだ。ハードそのものの省エネ性能も高く、さらに実証実験を通じ、一般的なマンションより10~20%の省エネを実現することを目標としている」などと語った。

 また、販売を担当してきた同社横浜支店営業室主査の品川有紗氏は「エコへの取り組みが購入の第一の動機付けになったわけではないが、購入検討から購入を通じての説明の中で、興味を持っていただける人が増えてきた」と話した。


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