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「2013年 年頭挨拶」(業界団体)

(一社)不動産協会理事長 木村惠司氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 伊藤 博氏
(一社)不動産流通経営協会理事長 袖山靖雄氏
(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 三好 修氏
(一社)住宅生産団体連合会会長 樋口武男氏
(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏

(順不同)

■(一社)不動産協会理事長 木村惠司氏
 
昨年の我が国経済は、後半には世界景気の減速や日中関係の悪化の影響により、企業業績に陰りが見られ、後退局面に入った。先行きについては、対外経済環境を巡る不確実性が高く、注意が必要な状況ではあるが、早期の回復を期待したい。

税制改正に関する議論は今年に持ち越されたが、当協会としては、内需の柱である住宅投資を支えるためにも、消費税率引上げ時に住宅取得に係る税負担をこれ以上増加させないことがぜひとも必要であり、税率5%を超える消費税相当額を住宅購入者に還付するというような措置を消費税制の枠内で講じていただきたいと考えている。

また、都市再生促進税制の延長や土地の登録免許税の特例の延長等も経済の活性化のために不可欠である。

日本経済再生のためには、良好な住宅ストックの形成に加え、大都市の国際競争力の強化や低炭素まちづくりの推進が不可欠である。
不動産協会は今年設立50周年を迎えるが、今後もさらなる活動の充実を図り、日本経済の成長と国民生活の向上に向け、全力を挙げて取り組んでまいりたい。


■(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長・(公社)全国宅地建物取引業保証協会会長 伊藤 博氏

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、みなさま方のご支援とご協力により、円滑な組織運営ができましたことを感謝申し上げます。

全宅連と全宅保証は、昨年の4月から公益社団法人として新たにスタートを切り、良質な住宅ストックの形成や消費者保護のための安全・安心な不動産取引実現のための事業を積極的に展開しております。

さて、政治経済の先行きが不透明である状況下において、全宅連は、消費税率の引上げに対し、国民の住宅取得の税負担を増やさないような効果的な軽減措置を確実に実行するよう、政府に対する提言や新聞紙上での意見広告掲載などの活動を展開しました。平成25年度税制改正においては、住宅用家屋に係る登録免許税の軽減措置や土地の売買に係る登録免許税の軽減税率などの適用期限を迎える各種税制特例措置について、国民に対する住宅取得支援、良質な住宅の供給・流通促進を図るうえで不可欠であることから、その延長を提言するなどの活動を積極的に実施しております。

また、不動産総合研究所では、民法改正に向けた検討事項が不動産実務に重大な影響を及ぼすことに鑑み、法務省のヒアリングやパブリックコメントで意見具申を行うとともに、本会情報提供誌「リアルパートナー」を通じて、啓発に努めてきました。

一般消費者に対しては、不動産に関する有益な情報を提供するため、不動産情報検索サイト「ハトマークサイト」のさらなる充実に努めました。

全宅連および都道府県宅建協会は平成27年に設立50周年を迎えますが、今年度中に「ハトマークグループ」としての長期ビジョンを策定し、会員10万業者が一体となって国民の住生活環境の向上、消費者利益の擁護と増進に努めて参ります。

さらに、人材育成は会員業者の経営基盤強化に不可欠なことから、新たに「不動産業に係る従業者教育研修・資格制度」を創設するとともに、会員業者に対しての業務支援策の一環として、「一般財団法人 ハトマーク支援機構」を今年早々に設立し、みなさま方への支援事業を提供していきます。

全宅保証においては、消費者保護を図るための苦情解決相談業務や弁済業務、手付金等の保管業務や紛争の未然防止のための研修業務等の実施を通じて、宅地建物取引の健全化・適正化に向け、各事業を推進します。

最後に、みなさま方のますますのご繁栄とご健勝をお祈り申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。


■(一社)不動産流通経営協会理事長 袖山靖雄氏

昨年末には衆議院総選挙があり、自民党が3年3カ月ぶりに政権復帰を果たすという結果となりました。

不動産流通市場においては、地価の下げ止まり感や低金利の影響もあり、リテール部門においては比較的堅調な推移をたどりましたが、ホールセール部門においてはいまひとつ伸びに欠けたきらいもありました。

そのような中、当協会は昨年の4月1日に一般社団法人への移行を無事完了し、新たな一歩を記しました。

また、日本再生戦略の「良質な住宅ストックの供給と不動産流通システムの改革」に基づき設置された各種委員会等に参画し、意見具申を行ってまいりました。

今年は、不動産流通市場の活性化へ向けての物件情報の充実・改善、不動産に係る情報ストックの整備や、宅地建物取引業法等の関連制度の見直しの検討が本格化してまいります。

当協会といたしましても、会員会社の協力を得ながら、流通の実情を踏まえた政策提言や情報発信を行い、内需拡大の牽引役となるべく一層尽力してまいりたいと思います。


■(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 三好 修氏

皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
平素は当協会の活動に格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

本年も当協会は賃貸住宅市場の調査研究から人財育成、相談や預り金の保証に至るまで一貫して取り組み、賃貸住宅市場の整備・発展に貢献して参ります。

賃貸住宅は国民生活のインフラの一翼を担う重要な社会ストックであり、当協会の果たすべき役割はますます大きくなると考えております。
 
本年は、賃貸住宅管理業務の適正化を図る「賃貸住宅管理業者登録制度(国土交通省)」のさらなる普及推進に尽力するとともに、経営の安定した管理会社の目安となる「預り金保証制度」、認定資格として新たに創設予定の「相続支援コンサルタント」制度の推進により、賃貸住宅の居住者には安全・安心な住環境の提供を、賃貸住宅所有者には資産価値の向上を図って参ります。

皆様におかれましては、本年も当協会の活動にお力添えを賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。


■(一社)住宅生産団体連合会会長 樋口武男氏

新年あけましておめでとうございます。

世界的な金融リスクが継続し、日本経済も外需、内需ともに厳しい状況の中で、新しい年を迎えました。ぜひ本年は、新政権の下、「決断と実行」で経済の活性化が図られ、景気回復が実現し、サスティナブルな成長軌道に乗っていく年となることを期待します。そのためにも裾野が広く経済波及効果が高い住宅投資の役割はますます重要になってくるものと思います。

昨年の通常国会で消費税率の引き上げが決定されましたが、住宅の消費税の負担軽減については、平成25年度以降の税制改正及び予算編成の過程で総合的に検討することになっています。

住団連としましては、国民の負担が増えることのないように、昨年来、国会議員の皆さまはじめ多くの方々に軽減を要望してまいりました。本年もこの消費増税問題を最重要課題と位置づけ、内需の柱である住宅投資の縮小を招かないためにも具体的な支援策を要望してまいります。

さらには、低炭素・循環型社会を実現するための地球環境問題への取り組みや、ストック重視の住宅政策への転換を目指す「中古住宅・リフォームトータルプラン」の達成など課題が山積しております。いずれにしましても税制・金融・補助金など幅広い政策支援の継続・拡充が必要であり、引き続き要望活動を展開していきたいと考えています。

昨年の11月には、かねてより準備を進めておりました一般社団法人への移行が認可され、その手続きを終えました。今後は新たな体制で、一層自由な政策提言活動によって社会的使命を果たしてまいりたいと思います。

今年の干支は、癸巳(みずのと・み)。癸(みずのと)は、道筋を立て、それに則り行動すること、巳(み)は、冬眠からさめたヘビが活発に動き出す様を示しているそうです。その意味は、長期的視点と進取の精神で事に当り、新しいものを創造して発展を目指す時。本年が、新たな事業創造にチャレンジし、大いなる発展を実現する良き年となりますよう心からお祈り申し上げますとともに、新生住団連としましては、顧客視点に立ち国民の皆さまが豊かで快適な住まいを実現する一助となる活動を積極的に行っていく所存です。


■(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏

●市場の成長を加速させる年

昨年は、長引く欧州債務問題を背景として世界経済は先行き不透明な状況が続いた。

わが国経済にもこうした影響が及んだが、わが国の投資市場は年末にかけて回復し、なかでも、オフィスビル等の不動産賃貸マーケットのファンダメンタルズが安定している不動産投資市場は順調に回復した。
Jリート市場については、東証リート指数が堅調に推移し、4件のIPOが行われるなど外部成長に向けた動きも活発化した。私募ファンドについても、3件のオープンエンド型私募リートが組成されるなど、わが国の不動産投資市場は新たな成長ステージを迎えている。

昨年9月に開催されたREESA東京大会・不動産投資国際フォーラムでも、諸外国の参加者から日本の不動産投資市場を再評価する声が寄せられた。

合わせて、不動産投資市場の国際的なイコールフッティングに向けた制度整備も進んでいる。投信法については、当協会の長年の要望活動が結実し、資金調達手法の多様化や海外間接投資の規制緩和等にかかる改正法案が国会に提出される見込みである。

本年は、こうした不動産投資市場の成長を加速させる年としたい。
具体的には、市場の拡大に資する制度改正を確実に実現するとともに、運用資産の多様化・拡大や、より幅広い投資家層の市場参加を促すことが重要だ。

運用資産の多様化・拡大については、PPPやPFIの活用に向けた働きかけや、CREの啓発活動、ヘルスケア施設等の用途の多様化を促進したい。
投資家層の拡大については、投資家登録制度を通じた年金等機関投資家との連携強化により、新たな投資家層を市場に呼び込みたい。

わが国は今、円高およびデフレ脱却、エネルギー政策の見直しなど、課題山積の状況にある。新政権は、まず成長戦略を一刻も早く実行し、日本経済を持続的な成長路線に復することが求められている。
 
わが国の経済成長を実現するためには、不動産投資市場の活性化が重要である。当協会の試算では、Jリートの保有資産規模が2020年までに2011年度比で倍増すれば、2001年のJリート創設から20年間で、不動産投資市場は、約77兆円の経済波及効果と約43万人の雇用誘発効果を創出することになる。
 
当協会としても強い使命感を持って、日本経済の再生を牽引するべく精力的に取り組んでまいりたい。


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