国土交通省は、建物の適切な使用価値を評価に反映させ、金融機関の担保評価に活用することで住宅ストックの活用促進、中古流通市場拡大を図るための方策を検討する「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」(座長:中城康彦明海大学不動産学部教授)を設置。6日、初会合を開いた。
中古住宅流通市場拡大に向けた課題の1つである「中古住宅の品質・性能が金融機関の担保評価に適切に反映されない」点につき、適切な建物評価のための環境整備、担保評価における適切な建物評価、適切な評価のための物件情報開示、住宅ストック価値の維持向上のためのインセンティブ、リバースモーゲージなど住宅ストック活用促進のための方策などについて、多角的に検討し、具体的な制度構築を提案するのが、研究会の目的。金融庁もオブザーバーとして参加する。
第1回研究会では、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会が宅建業者の立場から、(一社)住宅生産団体連合会が住宅事業者の立場から、(一社)全国銀行協会が金融機関の立場から、それぞれ中古建物やリフォーム価値の評価手法、その担保価値の評価手法、持ち家を金融資産として活用するリバースモーゲージ普及への課題などについて意見を述べた。
その後の意見交換では、「瑕疵保険がかかった中古住宅は、住宅ローンに何らかのインセンティブが付くなどすれば、中古流通も住宅ローン市場もどちらも伸びる」「長期的に取引件数が減っていくのはやむを得ないが、その分1件1件の取引の価値が高まれば、市場規模は拡大する。市場を質で考えていくべき」などの意見が出た。
一方、金融サイドからは「中古住宅は新築時の品質・性能差、維持管理など物件ごとの差が激しく、建物価値の判断材料が乏しい」「公的書面がない、建築基準法の適合性が確認できない等、新築対比では保守的に評価せざるを得ない」「リフォーム工事は、業者の信用度や技術により品質性能が変わり、投資金額が不動産市場において価格にいかに反映されるか不明確」など、中古建物やリフォームの担保評価の難しさが指摘された。
今後研究会では、インスペクションや住宅履歴情報、瑕疵担保保険の有無などの建物評価への反映、建物の使用価値やリフォームによる価値向上の担保価値への反映、住宅ストック価値の向上を生かしたリバースモーゲージやホームエクイティローン活用促進の方策などを検討していく。5月に第2回目の会合を開き、6月ごろまでをめどに報告書を取りまとめる方針。