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インスペクションガイドライン検討会、「一次現況検査」の内容で議論/国土交通省

 国土交通省は12日、「既存住宅インスペクション・ガイドライン検討会」(座長:深尾精一首都大学東京教授)の第3回会合を開き、同ガイドライン策定に向けた骨子を示した。

 骨子では、インスペクションを(1)住宅の現況を把握するための基礎的なインスペクション「一次現況調査」、(2)(1)に加え、建築士などが劣化範囲や不具合の原因など確認する「二次現況調査・診断」、(3)性能向上リフォーム実施時の住宅性能把握「性能向上インスペクション」の3つに類型化。ガイドラインは最も簡易的な「一次現況調査」を対象に策定する。

 一次現況調査は、補修・改修工事の実施の必要性が認められる劣化事象の有無把握を目的とし、目視・計測を中心とする非破壊での検査を主に、構造耐力上の主要部分、躯体の耐久性に影響を与えるおそれのあるもの(屋根、サッシュ、天井、内壁)、給排水・換気、階段・バルコニーなどを検査する。

 結果については、問題なし、経過観察・補修を推奨、改修工事が必要の3段階もしくは、問題なし、問題ありの2段階で示すとした。また、リフォーム業者や宅建業者がインスペクションを行なう場合、利益相反を回避するため、当該事業者であることを開示することなどを求める。

 検討会では、この骨子で示された検査項目や検査結果の開示方法などについて意見が集中。「ユーザーは、その建物が居住できるかできないかという結果以外は求めない。あまり細かい検査項目は必要ないのでは」「インスペクションは、瑕疵保険適用のための前さばき程度のものでいい」「買う側のリスクの有無だけわかればいい」など、一次現況調査についての検査項目や結果の開示は、できるだけシンプルにしたほうが良いという意見が大勢を占めた。

 検討会では、この骨子を元に参加委員からの意見を求め、それを反映させたガイドライン案を、4月中開催予定の第4回会合で発表。同会合での意見を反映させてパブリックコメントを行ない、5月にも公表する予定。


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