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アメリカの住宅市場、人口増を背景に住宅需要が上昇/ニッセイ基礎研究所調査

 (株)ニッセイ基礎研究所は27日、「米国住宅市場の最新状況」と題したレポートを発表した。

 アメリカの家計における総資産高については、住宅価格等の下落から、リーマンショック後の2009年第1四半期には65.3兆ドルまで落ち込んでいたものの、その後は回復基調をとり、12年第4四半期にはピーク値(81.5兆ドル、07年第3四半期)に迫る79.5兆ドルまで回復した。
 12年第3四半期からは、住宅資産が多くを占める家計不動産の残高が上昇に転じたことから、「マクロベースでみると、家計におけるネガティブ・エクィティの状況は次第に回復に転じていく」と分析している。

 住宅市場については、新設住宅着工は09年4月に年換算47.8万戸で底打ちした後、13年2月には年換算91.7万戸と倍近くまで回復。また既存住宅取引は10年7月に345万戸で底打ちした後、徐々に回復基調を続け、13年1月には492万戸と4割以上も増加した。
 既存住宅取引に含まれる、不良債権処理のための差し押さえや任意売却取引の件数は、多少変動はあるものの、ピーク時の09年3月における49.1%から減少傾向にあり、13年1月時点では23%強(差し押さえ約14%、任意売却約9%)まで減少した。住宅バブル崩壊後はこうした処理のための取引が既存住宅取引の主体となっていたが、最近は実需の増加により相対的に不良債権処理取引のウエートが下がっていることがうかがえる。

 なお、全米リアルター協会(NAR)が会員の流通業者に対して実施した調査“REALTORS Confidence Index”(RCI調査、住宅販売の現況と見通し)でも、現金購入者の比率がピーク時(11年3月)35%であったものが徐々に縮小し、13年1月は28%にまで低下していることが分かり、NARでは「需要は回復しているものの、住宅取得資金の確保が今後の住宅市場のいっそうの回復に向けた課題」との見解を示した。

 今後の見通しについては、アメリカにおける住宅需要は従来以上に高まっているとした上で、過去10年間の移民統計や人口統計を踏まえ、今後年平均で100万人を超える水準で合法的な移民が続き、自然増を含めると人口増加は年平均260万人が見込まれることから、賃貸や既存住宅需要が伸びており、この状況が続く限り、新築住宅に対する需要は次第に高まり、在庫不足から住宅価格は再び上昇を続ける可能性が見込まれると分析している。
 また新規の住宅供給が進まない場合、逆に住宅価格が必要以上に高騰する懸念もあり、今後は住宅開発を促すような政策対応も重要になってくるだろうと結んでいる。


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