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東京・調布の公社住宅建替えに着手/旭化成不動産レジデンス他

取り壊しを控えた調布富士見町住宅。中央に付け替えを実施した道路(市道)が走る。建物竣工時にはコミュニティ道路とする計画
築35年超を経て、老朽化が目立つ
水回りの老朽化だけでなく、それらの入口段差があること等への不安・不満の声も多かったという
懇談会・見学会には調布富士見町住宅マンション建替組合の理事長、副理事長も出席。合意形成までの経緯などについて語った(写真右から2番目は、見学会で記者の質問に答える同建替組合副理事長の多田陽子氏)

 旭化成不動産レジデンス(株)マンション建替え研究所は2日、調布富士見町住宅建替え計画(東京都調布市)の概要を発表。同日、着工前の現地を報道陣に公開し、建替えへの経緯などを説明した。

 「調布富士見町住宅」は、1971年に東京都住宅供給公社が分譲した団地で、敷地面積1万2,500平方メートル、鉄筋コンクリート造5階建て全5棟、総戸数176戸。住戸は、すべて専有面積50平方メートルの3DK。

 築後35年を経過した頃から漏水事故が頻発していたことに加え、居住者の高齢化が進みエレベーターがないこと、専有部もバリアフリーではないことへの不満、旧耐震物件に住み続けることへの不満などを受け、2007年末に「住宅を考える会」が発足。11年に一括建替え決議が成立し、12年に建替組合を設立した。現在権利変換計画の認可待ちの状態で、認可がおり次第、解体工事に着手する。竣工は15年の予定。

 団地建替えは、区分所有法、マンション建替え円滑化法の規定用件をクリアできない団地が多い。調布富士見住宅では、一団地規制の廃止を自治体に要請。地区計画・地区整備計画制定を行なった。さらに物件敷地と駐車場敷地に敷設されていた道路の付け替えについても、自治体と協議。敷地中央部へ道路を移設した点も画期的だという。大木祐悟マンション建替え研究所主任研究員は「建替え円滑化法で公道の付け替えを行なったのは、この団地が初めてではないか」と説明した。

 建替え後は、鉄筋コンクリート造地上6階地下1階(北棟)、地上8階地下1階(南棟)の2棟、総戸数331戸のマンションに生まれ変わる。間取りは2LDK(57平方メートル)~3LDK(94平方メートル)、地権者還元率は1.16。

 同日説明にあたった向田慎二マンション建替え研究所所長は「団地建替えは、合意形成の困難さが課題とされることが多いが、それ以外の課題もたくさんある」などと語った。また、団地建替えの課題などについてレクチャーした関根定利NPO法人マンション再生ナビ理事・事務局長は「団地建替えの成立は非常に難度が高く、制度・法律上の課題や費用負担の問題など、さまざまな問題を含んでいる」とし、対応策などについて説明を行なった。


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