シービーアールイー(株)(CBRE)は9日、2013年第1四半期の全国13都市の賃貸オフィスビル市場動向を発表した。
東京のグレードAビルは、新築ビルが大きく需要を吸収したことに加え、昨年竣工し空室を残していた複数のビルでも大型移転が決まり、空室率は7.8%(前期比1.0ポイント改善)と改善。想定成約賃料も、1坪当たり3万100円(同300円増)と上昇に転じた。この結果、東京23区の空室率は7.1%(同0.4ポイント改善)に。景気の好転を背景にした旺盛な需要を受け、幅広く移転が加速しつつある。
大阪では、過去最大級のグレードAビルが梅田で空室を抱えて竣工したことを主因に、空室率は18.2%(同9.5ポイント上昇)と大幅に上昇。大阪市の空室率も10.3%(同0.9ポイント上昇)となった。ただし、御堂筋周辺エリアなどでは、立地改善等の前向きな目的の移転など需要の拡大につながる動きが引き続き増加しており、空室消化が進んでいる。グレードAビルの想定成約賃料は、1坪当たり1万9,100円(同200円増)。
名古屋では、4年近くグレードAビルの供給がない中、空室率は需給がひっ迫し、1.6%(同0.2ポイント改善)まで低下。想定成約賃料も、1坪当たり2万2,250円(同50円増)と微増傾向を示している。名古屋市全体の空室率は9.9%(同1.4ポイント改善)となった。
同社は、「一部の大都市を除き全国的に新規供給がない中、立地改善や設備水準向上等を目的とする需要が幅広く堅調で、空室率は改善傾向にある。ただし、受け皿不足から企業が移転を先送りしようとするケースも見られ、需要の潜在化の懸念もあり、賃料は総じて横ばい傾向が継続中」としている。