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グローバル不動産投資、情報開示や標準化が課題に/ARES、RICS、JRSIが合同シンポ

講演するRICSグローバル会長のアラン・コレット氏
パネルディスカッションの様子。

 (一社)不動産証券化協会(ARES)は17日、(一社)RICS(英国王立チャータード・サーベイヤーズ協会)ジャパン、(一財)日本不動産研究所(JRSI)と共同でシンポジウム「グローバル不動産投資の課題」を開催した。ARESとRICSの業務提携の一環として開催したもの。

 シンポジウムでは、RICSグローバル会長のアラン・コレット氏が、「グローバル不動産投資」をテーマに講演。RICSが海外の機関投資家を対象に実施した日本の不動産投資市場に関する意識調査結果について、「海外の機関投資家は、日本の不動産投資市場に関心はあるものの、不動産市場やビジネス風土に関する情報が不足していることなどを理由に、まだ静観している」と報告した。
 また、グローバル不動産投資市場の課題について触れ、「商業施設など、規模測定や利回り算出の基準などが国によって違うことが投資家の混乱を招き、投資リスクと取られている。今後、国際基準を策定する必要があるだろう」などと述べた。

 続いて、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の川口 有一郎氏がモデレーター、国土交通省 土地・建設産業局 不動産市場整備課長の石川卓哉氏他4名をパネリストに招き、「不動産の国際戦略:日本の不動産市場におけるリスクの最小化と価値の最大化」をテーマにパネルディンスカッションを実施。日本の不動産市場の強みと弱み、グローバル不動産市場においての存在感を増すための課題などについて意見が交わされた。
 パネラーからは「日本市場は流動性も高く、経済的にも法律的にも安心できる市場だが、客観的なデータやインデックスが欧米と比べると少ない」「市場の透明性を高める」「一貫性のあるデータが不可欠となる」「法制度もグローバルスタンダードにあわせていく必要がある」「魅力を発信するための語学力が要る」などと指摘された。


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