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仙台市内の中古マンション価格、震災後に30%上昇/東京カンテイ調査

 (株)東京カンテイは8日、東日本大震災前後の仙台市内の新築・中古マンション市場動向調査結果を発表した。

 同市の中古マンション平均坪単価は、東日本大震災前の2009年第2四半期には58万8,000円、11年第1四半期には56万5,000円と3.9%下落していた。だが、震災後の11年第2四半期に58万6,000円に上昇。13年第1四半期には76万6,000円と、11年第2四半期比で30.7%と急上昇していることが分かった。

 行政区ごとにみても、11年の第1・第2四半期を境に上昇トレンドへと移行。特に仙台市中心部の青葉区では、62万7,000円(09年第2四半期)、58万4000円(11年第1四半期)の下落基調が、震災後には59万5,000万円(11年第2四半期)、79万3,000円(13年第1四半期)と33.3%も上昇、市平均を上回る上昇率を記録していた。

 しかし、中古マンションの流通事例数は、10年第3四半期に2,876件と直近のピークを記録した後に徐々に減少。震災後はさらに事例数が減少して、四半期平均で1,500件前後まで市場規模が縮小している。

 同社は「こうした変化は仙台市特有のもので、震災を境に高まったマンション居住へのニーズをすべて吸収できるほどマンションストックは多くなく、価格上昇を見込んで売り控えるケースが出ていることで、中古マンション市場の需給バランスが逼迫。市場で流通する中古物件の減少が、中古マンション価格の上昇の要因となっている」と分析している。

 また、震災前の2年間に供給された新築マンション27棟のうち、免震・制震装置を備えていたのは8棟(29.6%)に対し、震災後の2年間には14棟(51.9%)に増加。新築マンションが、安全性を重視して免震・制震装置を有する物件が過半数を占めるようになった。


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