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東京・文京区の防火地域にスギ耐火集成材を初採用したカフェ/住友林業

「野菜倶楽部―oto no ha Café-」外観
スギ耐火集成材「FRウッド」によって、柱や梁をむき出した状態の設計が可能に

 住友林業(株)は、木材のみで構成された耐火集成材を用いた国内初の物件「野菜倶楽部―oto no ha Café-」(東京都文京区)を完成させた。

 「野菜倶楽部―oto no ha Café-」は、地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅から徒歩5分に立地する飲食店舗。木造軸組工法3階建ての耐火建築物で、延床面積243.66平方メートル。

 国土交通省が推進する「平成24年度 木造建築技術先導事業」に採択され、スギ耐火集成材「FRウッド」を初採用した。「FRウッド」は、鹿島建設(株)と東京農工大学、森林総合研究所、ティー・イー・コンサルティングの共同研究により開発された、国産スギ材のみを利用した純木質耐火構造部材で、国内唯一の技術。荷重支持部の周辺に木材を燃えにくくする薬剤を注入した燃え止まり層を配し、火災が起きても構造を支える内部まで燃焼が進行しない。そのため、耐火建築物では困難であった柱や梁を空間に現すことができる。主要構造は、(社)日本木造住宅産業協会仕様(平成24年度版)の耐火認定木造軸組工法。

 15日の見学会で挨拶した住友林業住宅事業本部木化営業部工事チームマネージャーの小島誉典氏は、「都市部の防火地域で、純木質耐火集成材を手掛けたのは初めて。今後の木造建築の新しい可能性が広がる。木を使いたいという要望は多いが、RCの場合に比べて、コストが1.3~1.5倍もかかるため、補助がないと実現が難しい。今後はコスト面を克服することが課題」などと述べた。

 なお、「野菜倶楽部―oto no ha Café-」は、静岡県富士見市のオトワファームで収穫した無農薬野菜の販売なども行なっていく。


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