国土交通省は17日、「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」(座長:中城康彦明海大学不動産学部教授)の第2回会合を開き、報告書骨子案を発表した。
同研究会は、中古住宅流通市場拡大に向けた大きな課題である「中古住宅の品質・性能が金融機関の担保評価に適切に反映されない」点につき、適切な建物評価のための環境整備、担保評価における適切な建物評価、適切な評価のための物件情報開示、住宅ストック価値の維持向上のためのインセンティブ、リバースモーゲージなど住宅ストック活用促進のための方策などについて、多角的に検討し、具体的な制度構築を提案することが目的。金融庁もオブザーバーとして参加している。
報告書骨子案では、木造住宅が築20年で価値ゼロと市場評価されるなど、使用価値が適正に反映されていないことから、「中古住宅の性能を含めた使用価値に基づき評価するよう発想の転換を促し、一斉に行動を変える取り組みを進めて働きかけることが必要」と明記。
そのうえで、中古住宅の適切な評価と活用に向けた方策を、売買時における中古住宅の評価と、金融機関の担保評価における評価に分けて提案する。
前者では、中古戸建ての建物評価に用いられる原価法が、リフォームによる価値向上を積極的に評価する積算価格であることを再認識し、機能と実態に合わせた再調達価格の精緻化、部分別期待耐用年数をもとにした建物の期待耐用年数(物理的耐用年数)の算出、金融機関が利用しやすいリフォームの評価額への反映方法の検討などをもとに建物評価を実施。それらを戸建賃貸住宅の賃料などを基にした市場評価などを用いて検証する。
後者では、金融庁、金融機関との間で、中古住宅の資金化を円滑化するローンや担保評価手法の開発、インスペクションによる担保住宅の品質確認とその結果を踏まえた中古住宅の価格形成の重要性などを共有。新たな評価手法の活用促進、リフォーム一体型ローンの商品充実などのため、官民金融機関との間で検討の場を設けるとした。
委員からは「リフォーム結果を担保評価反映させるには、リフォームの中身をしっかり担保する仕組みが必要」「中古戸建て仲介に、建替えのための土地仲介がどのくらい含まれているかを調査しなければならないのでは」などの意見が出された。
委員会は、6月下旬に第3回会合を開き、最終報告書を発表する。