国土交通省は2日、「不動産市場における国際展開戦略」を発表した。
わが国が持続的な成長を図るためには、海外における不動産ビジネス展開(アウトバウンド)の拡大や、海外投資家からの国内不動産投資(インバウンド)を促進させる必要があるとし、そのために必要な国際展開戦略のあり方について、今年3月有識者による「不動産市場における国際展開戦略に関する研究会」を設置。議論を行なってきた。
海外展開については、日本でのやり方をそのまま輸出することは失敗につながりかねないとし、相手国の市場や生活環境に合わせ、日本の強みを生かしたサービスやホスピタリティのカスタマイズが必要と指摘。加えて、海外で活躍できる人材育成、諸外国の不動産市場に関する情報の収集・提供、海外企業等との連携強化や、リスク管理体制の整備、不動産分野の法制度整備支援などにも取り組む必要があるとした。
また、国内投資の促進については、海外の不動産投資家や投資情報の不足を課題とし、企業、業界団体、研究者、国がそれぞれの立場で投資家ニーズや投資動向の情報収集をできる組織とのパイプを作ることで、投資家が望むサービス内容を分析すべきと指摘。また、国内外における法制度等の違いによる障壁の克服、不動産鑑定評価基準の国際基準との整合性の向上などにより、多様な投資家を呼び込み、ビジネスを拡大することで、さらなる不動産投資につなげるという「正の循環」を構築する必要があるとした。
研究会での議論を踏まえ同省は、国が取り組むべき事項について実現に向けた取組みを急ぐとともに、個別企業や業界、研究者等が取り組むべき事項について、関係者と連携しつつ、取り組みを促していく方針。