森ビル(株)は3日、(株)構造計画研究所と2008年に共同開発した「超高層ビル用火災時避難シミュレーションシステム」が、特許権を取得したと発表した。
従来の避難安全性の評価法は、利用者情報、建物の規模・間取り情報などを略算式に入力して避難完了時間を求めるという手法だったが、同システムでは、避難者の一人ひとりの行動特性を緻密にモデル化し、避難中の各個人がその場の状況に応じて意思決定し行動する状態を逐次再現することで、より現実に即したシミュレーションを可能としたもの。
同システムを活用することで、設計段階から避難時に問題となる箇所を特定することで、安全性の高いビルづくりを実現。障害者、高齢者などの避難弱者を考慮した避難計画の作成および、エレベーターを活用した避難検証も可能。評価結果要因を特定し、迅速かつ安全性の高い避難計画の作成ができ、また、シミュレーション画面を活用することで、在館者への避難計画の周知および教育に有用となる。
同社では、同システムを活用することで、混雑や混乱を回避する有効な避難誘導の検証なども進め、今後のプロジェクトにおける設計段階での反映とともに、より有効な避難計画の立案に役立てていく。