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23区のコンパクトマンション、需給バランス改善で売れ行き好調。今後は立地・価格に注意/トータルブレイン調査

 分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、東京23区のコンパクトマンション市場を検証したレポートを発表した。

 23区のコンパクトマンション(専有面積30~50平方メートル)の年間供給量は平均5,000戸だが、増減を繰り返し安定していない。価格は、新価格・新新価格時でも供給エリアが郊外化したことでそれほど上昇せず、再び都心部中心に戻ってきた現在は坪300万円台まで上昇している。また、間取り別シェアでは、30~40平方メートル台の1LDKがシェア10%を切り、50平方メートル台の2LDKが10%台を超えている。

 商品企画面では、(1)分譲単価の上昇で専有面積圧縮傾向が強い中、ワイドスパン商品が人気、(2)セキュリティ面等で内廊下方式が人気、北向きの影響はほとんどない、(3)販売は1LDK・2LDK、3LDKの順なので、グロスの張る3LDKの設定ボリュームには注意、(4)女性を意識したデザイン性や設備仕様のグレードが重要、(5)グロス価格3,500万円にカベ、などの特徴がある。

 販売面では、都心部のコンパクトマンションは比較的広域集客が可能で、実需を中心に投資家・外国人購入も多く、近年は男性の購入者も増えている。また、消費税については減税措置がないが、駆け込み感はあまり見られないとしている。

 これらを踏まえ同社は(1)コンパクトマンションは、供給エリアが限られるため需給バランスが崩れやすく、供給ボリュームの増減に敏感、(2)景気回復期待、金利・不動産価格の先高感で需給バランスは大きく改善、(3)供給の都心一極集中が強く、エリアごとの需給バランスと供給過剰感に注意、(4)購入者のバリエーションの幅が狭く、メインターゲットが年収400万~600万円台のシングル層のため、土地代・建築費の上昇を吸収するのが難しい。消費税増税の負担増がそのまま購入者に直結する、などと分析。「コンパクト商品のマーケットはニーズの多様化により拡大しているが、同時にますます駅近好立地を求めており、マンション用地の高騰と建築費の高騰を加味すると、供給価格の上限と今後の消費増税によるマインドの低下懸念がある以上、冷静にマーケットを判断していく必要がある」としている。


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