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コストダウンとバリューアップを両立。戦略商品開発に注力/アキュラホーム

本社「試行棟」外観。高性能雨樋が採用され、縦樋はわずかに3本。しかも細い。大きな軒の出も目立つ
コンクリートを打たないガレージ。通常であれば、15~20cm掘ることで出る残土が発生しない
オリジナルの大型玄関収納。引き戸など汎用品を流用することで、通常の家具造作で40万円はかかるものを、20万円程度で提供できる

 (株)アキュラホームは、来年4月の消費税増税後を睨んだ戦略商品開発を強化する。

 アキュラグループ、工務店ネットワークのジャーブネット、現場の大工職人から、細かな改善案を募集。それらを精査した上で、「試行棟」に導入。さらに検証を行なった上で、正式に商品へ導入する。

 同開発は、8事業部と本社で展開。すでに、3,000項目余りの改善案を収集し、成果が期待できる改善点50項目余りを、埼玉県東松山市に建設した「試行棟」に導入した。

 同社はこれまで、新技術等の検証は、同社社長宅等を「実験棟」とし実施してきた。「試行棟」は検証後の販売が前提となるため、市場実績のあるものに限定する。今回の試行棟では、地盤改良杭の見直し、基礎工事の見直し、排水ヘッダー導入による配管見直し、高性能雨樋採用による配管見直し、コンクリートを打たないカーポート等で、残土処分量を17立方メートル、残土処分費を13万円削減した。また、施工合理化に向け、「部材の梱包レス搬入」「床仕上げを後回しにした養生レス施工」「玄関収納の組み立て搬入」などを取り入れた。

 一方で、削減したコストによるバリューアップも実施。1,200mmの軒の出、奥行き1,200mmバルコニー、多機能大型玄関収納、耐久性・耐水性があり無垢フローリング調にデザインされた塩ビシート、自然石を多用した和風エクステリアなどを採用した。これらのバリューアップを導入しながら、本体基本価格(建物面積35坪)は従来比100万円ダウンの1,280万円を実現している。

 試行棟は、来年3月までにさらに7棟を建設。来期は、ジャーブネット加盟店を含め、全国50棟まで増やす。各試行棟での検証と、新たな改善項目をリアルタイムで投入。商品改良を進めていく方針。

 今回の取り組みについて、アキュラホーム代表取締役社長の宮沢俊哉氏は「東日本大震災と準耐火対策への対応で、ここ数年商品改良が疎かになっていた。テーマはコストダウンとバリューアップの両立。削れるコストはコツコツ削って、価値を上げ、適正価格を追求する。本社主導ではなく、地域の声を活かす。消費増税分を価格転嫁しない。将来的には、200万~300万円のコストダウンも実現したい」などと語った。
 また、同社執行役員の井草健二氏は「業界の思い込みや慣習を変えることから始めた。50項目のうち、半分以上は現場からの意見をもとにした取り組み。コツコツしたことの中に、改善点が潜んでいる」と語った。


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