(独)都市再生機構(UR都市機構)東日本賃貸住宅本部は6日、団地再生事業「花畑団地 ハウジング・リノベーションプロジェクト」(東京都足立区)の竣工に伴い、報道陣に公開した。
花畑団地は、東武スカイツリーライン「竹ノ塚」駅よりバス15分、バス停より徒歩3分に立地する、総戸数1,568戸の大規模団地。
団地内にある1966年に建設されたボックス型団地1棟(総戸数10戸、鉄筋コンクリート造5階建て)を、2011年度に開催したデザインコンペにおける最優秀賞作品をもとに、丸ごとリノベーションしたもの。同コンペは、画一的で時代にそぐわないといわれる団地の暮らしに対し、「団地での新たな生活シーン」のアイディアをコンペティション形式によって広く募集。407点の応募があり、最優秀賞には藤田雄介氏(Camp Design inc.)の作品「倍増する風景」が選出された。
建物は、スケルトン化したうえ、外壁を白く塗装。断熱材やエレベーターの導入、一部配管の刷新などを実施。耐震面は問題なかったため、そのままとした。
住戸は、間取りが1DKと1LDK。木製サッシによる4分割窓、ランダムに配置された半屋外空間である「ルームテラス」を採用。国内メーカーの木製サッシは、古き良き団地の面影を残し、居室に柔らかい質感を与えるほか、高い断熱効果が期待できるとした。ルームテラスは、断熱や防水性能だけでなく、耐久性を確保するため、断熱材やFRP防水を複合的に使用。豊かな周辺環境をプライベートスペースに取り込むことを可能とした。
そのほか、複層ガラスや断熱ドアを取り入れ、省エネ化を図ったほか、水回りなどの設備や表面材なども一新し、快適性を向上している。
「同団地も65歳が4割以上と高齢化が進んでいる。これまでも退去時にリニューアルは進めていたが、今回たまたますべての住戸が退去されたことで、1棟丸ごと改修ができ、大幅なバリューアップが実現した。コンペにより公園に面した好環境への立地、ボックス住棟ならではの全戸角部屋というこの物件の良さを生かしたデザインを採用できた。当物件を拠点に単身者、夫婦や若いファミリー世帯に団地の魅力を訴求したい」(同社主査・新津乃子氏)。
一般向けには15日にモデルルームを公開、募集を開始する予定。賃料は7万1,600~7万4,400円(共益費など別途必要)。入居開始は4月中旬頃を予定している。