(一社)不動産証券化協会(ARES)は28日、正会員と賛助会員を対象にした「不動産私募ファンド実態調査」結果を公表した。2013年12月末、会員に調査票を送付、209社から回答を得た。
不動産私募ファンドを運用しているのは72社・回答率34.4%、1年以内の運用開始を検討している会社は2社1.0%だった。13年12月末時点の私募ファンド運用資産規模は、10.3兆円(前年比2.4%減)。今回初めて、私募ファンドの運用資産額がJREITの運用資産額を下回った。JREITの物件取得額が13年に最高値を記録したことなどが要因。
運用資産規模は、500億円未満が24社35.8%で最多となり、500億~1,000億円未満11社16.4%、1,000億~3,000億円未満19社28.4%、3,000億円超13社19.4%となった。
保有物件数は減少傾向にあり、運用会社1社当たりの物件数・1ファンド当たりの平均運用資産額は減少傾向にある。一方で運用会社1社当たりの平均運用資産額は増加トレンドが継続し、投資適格物件が選別されている様子もうかがえた。
ファンドの予定運用期間は、「1年未満」と「1年以上3年未満」の割合が増加。従来続いていた長期化傾向に変化の兆しが表れている。同協会では「アベノミクス効果による成長期待に基づく、短期収益目的のファンド数の増加、JREIT立ち上げに当たってのブリッジファンド組成などが影響している」可能性があると分析する。
プロパティタイプの内訳を資産額ベースにみると、オフィスが58.7%を占め、増加傾向も続いている。住宅については10.1%で漸減傾向が継続。今回から新規項目として追加したヘルスケア施設・シニア住宅は0.3%となった。物件の所在地は東京23区が資産額ベースで69.0%を占めて最大規模に。物件数ベースでも50.3%となり、今回初めて5割を突破した。
LTV水準は、50%未満が33.8%を占めて最多。増加傾向も続いており、前年調査で増加した「70~80%未満」「80%以上」が減少しており、全般的にレバレッジの低下傾向が見られる。