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ストック事業伸長へ技術研究所を「ショールーム」化/長谷工グループ

技術研究所の核の一つ「住宅性能試験棟」外観
「技術展示棟」では、展示内容を一般消費者へのPRを意識してリニューアル。カテゴリー別に実物大による展示やパネル、VTR、解説シートで、それぞれの技術の特徴について説明する
「住宅性能試験棟」に、70年代の長谷工マンションの住戸内を再現。天井は低く、木材の利用比率が高い。遮音性能や断熱性能も大幅に低いため、現代の技術で更新することで、居住性や快適性を大幅に向上させることが可能であるとアピールする
住宅性能試験棟内には、床への衝撃音が、上下階や隣住戸にどう伝わるかを体感できる実験室を設置。どの位置にどのようなタイミングで落ちたかをモニターで確認し、音の伝わり方を実感してもらう

 (株)長谷工コーポレーションはこのほど、マンションの安全性・快適性・省エネ性等の向上に関する基礎研究を行なう「長谷工コーポレーション技術研究所」(埼玉県越谷市)を大幅リニューアルした。

 同研究所は、1998年神奈川県厚木市から移転したもの。敷地面積は約2,000坪、建物面積は約900坪。(1)マンションで使用される建材や設備の熱環境や化学分析、温度・湿度の影響などを検証する「環境実験棟」、(2)建物の躯体のコンクリートや柱・梁の耐久性や耐震性などを実験する「材料・構造実験棟」、(3)最新設備等を実際のマンション躯体に実装し、耐久性や施工実験を行なう「住宅性能試験棟」、(4)来場者へ研究テーマをプレゼンテーションする「技術展示棟」、(5)新たな施工法の実大実験や躯体を外気にさらして劣化具合等を検証する屋外実験ヤード、で構成される。年間の来場者数は、100名前後。他に社員研修でも使われる。

 今回のリニューアルは、現在のトレンドに合わせた実験・試験項目の入れ替えに加え、管理組合役員や一般ユーザーの来場を見据え、長谷工グループの持つマンション建築・改修技術を理解してもらえるよう、技術展示棟と住宅性能試験棟を中心に、実験や展示内容を「ショールーム」化した。

 技術展示棟では、「環境と健康を守るための研究」「地震に備えるための研究」「建物を永く使うための研究」「効率的に建物を造るための研究」「将来技術の提案」に分け、実物大による展示やパネル・VTR、解説シートで、それぞれの技術の特徴について説明する。住宅性能試験棟は、手すりやサッシュ等を更新したほか、70年代の同社施工マンションのインフィル部をそのまま移設。最新のマンションとの違いを比較できるようにしているほか、二重床・直床の遮音性能の違いや、上下階、隣戸への音の伝わり方を体感できる実験室も設けた。

 展示・研究されている技術は、新築マンション施工に係るものが基本となるが、大規模修繕や耐震補強、インフィルのリフォーム等に転用できるものが数多くあり、グループのストックビジネス強化の方針に従い、これらの技術をマンション管理組合等に積極的にアピールしていく。また、近年の労務環境の悪化を受け、内装工事の工業化、躯体の工業化といった施工の効率化にも力を入れている。

 同研究所副所長の大倉真人氏は「ストックビジネス強化に向け、消費者向け情報発信を強く意識してリニューアルした。大規模改修を検討している管理組合等に、グループの総合力をアピールしていきたい」と抱負を語っている。


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