(一財)不動産適正取引推進機構(RETIO)は8日、住宅金融支援機構 すまい・るホール(東京都文京区)で「創立30周年記念講演会」を開催した。
同機構の評議員会会長で弁護士の升田 純氏が「不動産取引の歴史と現代的な課題と法律問題」をテーマに講演。RETIO 30周年の軌跡や意義について触れた後、不動産取引の歴史について「かつては支配や富の象徴として『所有』に重きをおいていたが、現代は『投資対象』という見方が確実に強くなってきているのが大きな特徴」など不動産に対する価値観の変化・変遷についてや、高度経済成長期・国民の所得増加時代・バブル崩壊期など各時代における不動産取引について解説した。
さらに高齢化・国際化における不動産取引・インターネット取引への対応など現代的な課題についても取り上げた。
その後、地震・土壌汚染・放射能汚染・契約関係など最近の時代を反映したさまざまな不動産取引を巡る判例を紹介。最後に、近い将来、不動産取引がどういう方向に進むのか、どういう要請が出てくるのかについて予測を交えて解説。従業員一人ひとりの能力の向上とコンプライアンスを含めた多様な需要への対応、不動産事業者の保護義務への対応、さらに簡易な紛争解決制度の構築の重要性などを説き、「非常に重要なのはトラブル解消のための業界全体の自主的な努力、自らのルールの形成・発展」などとまとめた。