三菱地所レジデンス(株)と(株)フジタが特定業務代行者、三菱地所レジデンスと相鉄不動産(株)、丸紅(株)が参加組合員として参画する「西新宿五丁目中央北地区市街地再開発事業」(東京都新宿区)が、12日起工した。
同事業は、都営大江戸線「都庁前」、東京メトロ丸ノ内線「西新宿」駅徒歩6分、JR線他「新宿」駅徒歩15分に広がる、広さ約1.5に及ぶ市街地再開発。従前は木造住宅や低層商業施設が密集するエリアで、防災性の向上、住環境の整備に向け、1990年代から再開発に向けた動きが活発化。地権者中心に、92年まちづくり有志会を結成。98年にフジタが事業協力者として参画。2008年の都市計画決定、11年の組合設立認可を経て20年がかりで再開発にこぎつけた。
地権者数は130名、借家人なども含めると300名以上。地権者の半数が再開発後も居住する。また、同エリアは東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」の不燃化特区としての指定を受けており、その防災街区整備事業のパイロットプロジェクトにもなる。
再開発では、日本最高階数となる、高さ208.97m、地上60階建て、総戸数976戸の制震タワーマンションを中心に、集会所、事務所、公園などを整備。街区内道路を10~12mに拡幅するほか、ふんだんに緑化を施した広さ1,900平方メートルの公開空地を整備。地域防災拠点やコミュニティ空間として機能させる。
着工記念式典で挨拶にたった同組合理事長の若村雅司氏は「地権者の皆さんや自治会の皆さん等の協力により、ここまでこぎつけた。再開発後は日本最高階数のマンションはもちろん、いざというとき避難できる公園や、地域のシンボルとなる会館もできる。今後も、事故のないよう工事を進めていただきたい」等と語った。
来賓として参加した新宿区長の中山弘子氏は「この地区は、利便性の高い立地にもかかわらず、道路が行き止まりだったり、オープンスペースがなかったりと、防災上の課題が多かった。組合員の皆さまはさまざまな困難を乗り越え再開発にごぎつけた努力を、私も長年にわたり見守ってきた。感無量だ。不燃化特区のコア事業として、地域の不燃化防災拠点として、安全安心のまちができることに大きな期待を寄せている」と語った。
また、参加組合員を代表して挨拶した三菱地所レジデンス取締役社長の小野真路氏は「私は海外のディベロッパーとも交流があるが、みな新宿というまちを知っている。新宿は今や日本の新宿というだけでなく、世界の新宿となった。当社は西新宿で2件の再開発を手掛けており、関わりも深い。地上60階建てのタワーマンションを中心に、西新宿のメルクマールとなるようなプロジェクトとして、総力を挙げて開発を進めていきたい」と抱負を述べた。
なお、分譲マンションは今秋めどに発売する。分譲価格や販売戸数等は未定だが「西新宿は副都心のイメージがあるが、人の住むまちとしてあらゆる世代にご評価いただけるよう、幅広いタイプの広さ・間取りを用意する」(同社街開発事業部開発第二グループ長・石原和彦氏)としている。