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区分所有権解消制度創設を評価/日本不動産学会シンポジウム

パネルディスカッションでは、区分所有権解消制度の意義や今後の課題なども含め、活発な意見交換がなされた

 (公財)日本不動産学会は24日、日本大学経済学部講堂(東京都千代田区)にてシンポジウム「マンション老朽化への対処-区分所有権解消・敷地売却制度はどう使われるか」を開催した。

 会の冒頭、国土交通省住宅局市街地建築課長の杉藤 崇氏が、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案について」と題して講演。現在国会で審議が進められている「マンション建替えの円滑化等に関する法律」の改正案に盛り込まれた「マンション敷地売却制度」について、その流れやマンション建替えとの比較などについて、分りやすく説明した。

 続いて、研究者、実務者、弁護士が参加してのパネルディスカッションを開催。「区分所有権解消・敷地売却制度の運用と今後の課題」をテーマに意見交換が行なわれた。海外では、区分所有権の解消という手法をとる国がほとんど。建て替えしか認めていないというのは、日本と韓国のみという現実を踏まえ、今回の制度がスタートしたことは大きな進歩であると、出席者一同高く評価した。その一方で、「今検討されている制度では、耐震性不足の認定が必須とされているが、過去に建て替えが行なわれた物件の多くは、耐震性ではなく、インフラの老朽化やエレベーターがない、間取りが現在の生活ニーズに合わないなどの理由で建て替えを実施したものが多い。この法案が対象とする市場規模が非常に見えづらい」(旭化成レジデンス(株)開発営業本部マンション建替え研究所主任研究員・大木祐悟氏)、「要除却認定が必要とされたことで、耐震改修を実施して多用途で使うという道が絶たれる」((株)安藤ハザマ建築事業本部営業統括部都市開発部都市開発グループ長・伊澤英志氏)など、課題についても指摘がなされた。


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