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三井不動産グループが参画。東京・飯田橋駅前の大規模再開発が竣工

再開発地全景。手前が地上30階建てのオフィス・商業ビル「飯田橋グランブルーム」、奥が地上40階地下2階建て、総戸数505戸の分譲マンション「パークコート千代田富士見」。駅からのアプローチとなる敷地入口には、富士見町協会とオープンスペースがある
計画中に発生した東日本大震災を受け、防災対策は大幅に強化。72時間稼働の非常用発電機や蓄電池に加え、防災井戸を掘削。写真の濾過装置を経て、飲料用としても利用する
「パークコート千代田富士見」外観。旧江戸城外濠に面することから、外濠の桜と石垣との連続性を持たせるべく、桜40本の植樹、エントランス前への石垣設置などを行なった。販売戸数の半数以上が1億円を超えていたが、発売10ヵ月で完売した

 三井不動産グループが組合員として参画し開発が進められてきた「飯田橋駅西口地区第一種市街地再開発事業」(東京都千代田区、愛称「サクラパーク」)が竣工。29日、関係者に公開された。

 同再開発は、01年の旧東京警察病院の移転決定を受け始動。04年に準備組合を、10年4月に再開発組合が設立され、11年6月に着工していた。開発地は、JR中央線「飯田橋」駅徒歩1分に立地。事業面積は約2.5ha。地上30階地下2階建てのオフィス・商業複合ビル「飯田橋グランブルーム」と、地上40階地下2階建て、総戸数505戸の分譲マンション「パークコート千代田富士見」に加え、1929年から同地で活動していた日本基督教団富士見町協会の新教会堂で構成される。前田建設工業(株)、鹿島建設(株)が施工。三井不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)が、オフィスビル・商業テナント、分譲マンションの分譲・賃貸を行なってきた。

 計画中に発生した東日本大震災を受け、非常用発電・蓄電池によるバックアップ、防災備蓄の充実、非常用マンホールトイレ、飲料井戸の設置など大幅に防災対策を強化したのが特徴。

 「飯田橋グランブルーム」は、地震エネルギーを吸収する制振ダンパー、必要機能維持を考慮した非常用発電機の容量設定、被災度判定システム等、災害対応スペックを導入。LED照明、太陽光発電、高性能Low-Eガラス、電動遮光ブラインド、高効率熱源システムなどの環境配慮設計も採用している。オフィスフロアは、基準階約800坪、延床面積は約12万4,000平方メートル。ほぼすべてのフロアのテナントが内定している。
 また商業ゾーン「飯田橋サクラテラス」は、飲食・物販を中心に、25店が出店する。商業施設は10月オープン。

 「パークコート千代田富士見」は、デザインコンセプトを日本特有の美意識「粋」とフランスの精神「エスプリ」とし、国内外の有名デザイナーに各分野のデザインを依頼。旧江戸城外濠に面することから、外濠の桜と石垣との連続性を持たせるべく、桜40本の植樹、エントランス前への石垣設置などを行なった。防災対策も、東日本大震災を受け強化し、72時間稼働の非常用発電装置・太陽光発電・蓄電池の設置、3日分の飲料水確保、防災備蓄などを行なう。

 住戸は、専有面積42~181平方メートル。販売価格は、4,990万~4億4,980万円、最多価格帯は9,100万円台、平均坪単価は約470万円。販売戸数の半数以上が1億円を超えていた。12年10月のモデルルームオープンから10ヵ月で完売した。

 29日会見した、同再開発組合理事長の佐藤匡哉氏は「地権者の皆さん、事業者が協力し合い、この地の持つ、歴史、緑、水を意識し、新しいランドマークができたと自負している。震災を機に防災対策も見直した。まちに快適さを提供し、賑わいをもたらしたい」と抱負を述べた。


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