三井不動産(株)は20日、推進中の既存ビル約60棟でのBCP改良工事のうち、「霞が関ビルディング」(東京都千代田区、1968年竣工)、「新宿三井ビルディング」(東京都新宿区、74年竣工)、「日本橋三井タワー」(東京都中央区、2005年竣工」の工事完了に伴い、マスコミにオフィス災害対策の中枢である「危機管理センター」を公開した。
改良工事では、エレベーターへの耐震工事により、地震発生後により早期の運転再開が可能に。震度5強程度までの地震で緊急停止したエレベーターを自動診断し、保守会社の点検を待たず自動で運転再開を可能とする「自動診断反復旧システム」も導入した。
また、井戸の掘削(霞が関ビルディング・三井日本橋タワーが対象)や貯水槽の増設(3棟とも対象)に加え、給水設備に対する非常用電源の確保を行なうことで、在館者100%相当が3日間トイレを使用することを可能とした。非常用発電機およびオイルタンクを増設、稼働時間を72時間に延長した。これにより、ビル共用部に加え、テナント専有部への72時間の電力供給が可能となった。
見学会の冒頭、同社ビルディング本部運営企画部企画グループ統括の上田勝州氏は、「東日本大震災以来、テナントの意識が命を守れればいいということから、いかに事業を継続できるかに大きく変わった。電力のひっ迫、エレベータの安全確保、帰宅困難者といった課題も明らかになり、防災やBCPに対し新たな対策を施し、平時からの訓練によって意識と熟練度を高めていきたい」と述べた。
同社は、12~16年度の5年間で約200億円を投資し、防災・BCP関連の機能を新築ビルと同水準に向上させる改修工事を推進。運営管理体制の強化にも注力していく。