大京グループは、管理会社の(株)大京アステージを通じ、マンションの防災力を高めるための管理組合の取り組みを支援していく。
同社は、2011年の東日本大震災での復旧支援の経験をもとに、マンション管理組合と居住者を対象にした「防災セミナー」を全国各地で開催。3年間で、1,000名以上を動員した。
震災後の復旧において、コミュニティの形成されている管理組合と、形成されていない管理組合との間で、復旧工事のスピードに著しい差が出たことから、コミュニティ形成支援を前面に出していく。「復旧工事の合意形成が速いと、工事費が2割ほど安く済むほか、補助金などの公助がいち早く利用できる。当社の管理物件では、復旧スピード(工事業者の確保)に最大6倍の差が出た」(同社元東北支店長・金 喜彦氏)。
コミュニティ形成を支援するため、防災マニュアルの作成、備蓄品の提案に加え、管理組合に「参加型防災訓練」を推奨していく。同訓練では、組合役員や居住者が参加し、(1)防災倉庫からの防災備品取り出し、(2)災害対策本部の設置、(3)受水槽からの取水、(4)共用散水栓からの取水、(5)防災備品と使用方法の確認などを行なっていく。震災前までの参加率は3割程度だったが、震災後の仙台のマンションでは8割まで上がった。
また、防災備品については、(1)開閉できなくなった玄関を開けるためのバールとハンマー、(2)割れた窓ガラスを塞ぎプライバシーと防寒を確保するためのプラベニア、(3)防犯対策のための南京錠、(4)情報交換のためのホワイトボード、(5)防災倉庫を空ける鍵が役員不在でも確保できるキーボックスなどを推奨していく。また、「震災直後は管理組合や管理会社の共助、公助は期待できない」(金氏)として、20日分程度の飲料水備蓄をアピールしていく。
同社がこのほど開催したプレス向けセミナーで金氏は、「災害に強い管理組合は、被災者でもあり支援者でもあるという考えがあった。人任せにせず自分と家族の安全を守る自助力と、マンション内で助け合う共助力を高めることが大事」とアピールした。