国土交通省は10日、「住宅団地の再生のあり方に関する検討会」(座長:浅見泰司氏・東京大学大学院工学系研究科教授)の第2回会合を開いた。
同会では、住宅団地の再生のための多様な事業手法確立に向け、委員や有識者から、団地再生実務の実態のヒアリングを行なっていく。今回の会合では、大西 誠委員((株)竹中工務店参与)、宮原義昭委員((株)アール・アイ・エー代表取締役社長)と、外部有識者として(株)都市研究所代表取締役・西木 實氏からヒアリングを行なった。
大西氏は、団地型マンションの再生の課題として、(1)郊外型団地では、保留床が需要規模を超える、(2)複数の団地が一団地認定敷地である場合は、敷地分割しての建て替えは不可能に近くなる、(3)棟別建て替えでは、合意の成立した一部の住棟だけの建て替えは認められない、といった問題点を指摘。「建て替えるか、修繕だけで住み続けるかの二者択一しかないところに基本的な問題がある」として、建て替え、リノベーション、住戸交換、改修など居住者の多様なニーズに対応できる「団地再生事業法」の創設の必要性を説いた。
また、宮原氏は住宅団地の再生を市街化再開発事業として実施する可能性について解説。都市計画決定の中に団地建て替えをどう位置付けていくかを課題とした。西木氏は、総戸数9,000戸に及ぶ大規模団地「町田山崎団地」の一部建て替えをコンサルタントとして指導した経験を披歴。階段室型住棟では、階段室単位でコミュニティ形成のためのイベントを実施し、これとは別に住棟ごとに検討委員会を実施するなど、合意形成のため綿密に配慮した点などを語った。
同会では、今後も月1回ペースで有識者ヒアリングを実施していく方針。