大和ハウス工業(株)は14日、「ユニクロ」を展開する(株)ファーストリテイリング(山口県山口市、代表取締役会長兼社長:柳井 正氏)と共同でファーストリテイリング専用の物流倉庫を開発することを発表した。また、両社共同出資による物流事業会社を立ち上げ、多機能物流拠点を中心とした新たな物流スキームを構築していく。
現在のファーストリテイリングの物流スキームは、生産地から販売国の集約倉庫に商品を配送し、通過型物流センターを経由して各店舗に商品を配送するという仕組み。大量生産体制に対応するにはメリットがあったが、消費地と倉庫が遠いために店舗の販売状況に合わせた商品供給などに課題があった。
このほど両社が構築する物流スキームは、生産地に大規模な倉庫を置き、消費地の近隣に多機能な物流拠点を備えるのが特徴。多機能物流施設には、販売状況に合わせた店舗への配送、店頭ですぐに商品陳列できる状態での配送、顧客の要望に沿った加工などの機能を持たせ、配送コストや時間の大幅な削減につなげる。
初弾として、首都圏エリアの配送拠点として「(仮称)Dプロジェクト有明I」(東京都江東区)を建設する。敷地面積3万6,309平方メートル、鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造地上6階建て、延床面積は11万2,402平方メートルを計画する。11月に着工し、2016年1月に竣工する予定。
ファーストリテイリングは、こうした物流施設を早い段階で国内10ヵ所程度をめどに整備し、同時並行的に海外でも整備していく計画。大和ハウス工業では、「有明」を皮切りに、用地仕入れや施工などの面でサポートしていく。また資金調達面では、大和ハウス初の私募リートを16年に組成する。ファーストリテイリング専用の物流施設を投資対象として、資産規模は当初650億円程度を想定している。
14日に都内で行なった共同記者会見で、大和ハウス工業代表取締役社長の大野直竹氏は「当社は、ファーストリテイリングの店舗を550店舗建設してきたり、物流施設を151ヵ所開発してきた実績がある。今回の物件が竣工すれば、ファーストリテイリングの旗艦センターとして、国内最大級の都市型物流施設となる。共同物流会社や私募リートについて詳細はまだこれから詰めていく段階だが、ファーストリテイリングの展開を上手く支援していきたい」と話した。