森ビル(株)は11日、六本木ヒルズの住宅棟「六本木ヒルズレジデンス」など同社の高級賃貸住宅シリーズ「MORI LIVING」における災害発生等の緊急時の取り組みを、報道陣に公開した。
東日本大震災発生から4年経つ節目に、同住宅におけるハード・ソフト両面の取り組みを紹介した。同社の賃貸住宅は、免震や制震構造等、最高レベルの耐震性能を備えたうえ、中圧ガスによる自家発電機能を搭載。災害用井戸による生活用水の確保、居住者のための非常用食料や水の備蓄(3日分)、フロントスタッフなどによる各住戸への安否および被害状況確認、発災後1週間を自助で乗り切るために必要とされるグッズを集めた同社オリジナルの「エマージェンシーキット」の無料配布などを行なっている。
また、外国人入居者が約4割を占めることから、外国人向けのサポート内容も充実。防災や被災時対応を記載したハンドブックやキットの説明書などはすべて日本語と英語を併記。災害発生時のスタッフの対応もバイリンガル対応を基本としている。
今後は、2013年8月六本木ヒルズに導入した被災度推測システム「e-Daps」を賃貸住宅でも採用する予定。同システムは、フロアごとの「揺れの加速度」と「建物変形」をリアルタイムに自動解析、建物構造の被災状況を即座に一次判定することができるため、目視判断が難しい構造の安全性に対し、実測データに基づいた根拠ある判断が可能となり、優先順位をつけた初動対応を実現する。
なお、同日、六本木ヒルズアリーナでは、六本木ヒルズにかかわる住民やオフィスワーカー、店舗テナント・従業員、近隣小学校の生徒・住民などを対象にした年に1度の大規模震災訓練を実施。約900人が参加した。
03年の六本木ヒルズ開業以来、六本木ヒルズ自治会と共同で実施しているもの。参加者は、心肺蘇生・AED操作や消火器を使った消火活動、応急手当などを体験。麻布消防署の協力により、地震による火災発生時傷病者の効果的な救出活動、救助要領等の大規模デモンストレーションも行なった。
避難訓練の冒頭、同社取締役副社長執行役員の森 浩生氏は「東京は、首都直下地震が、この先30年の間で70%の確率で来るといわれている。われわれは今日の訓練を通じ、自分の命は自分で守るという自助、地域とともに助け合う共助、これらの意識をしっかりと持って訓練を行なうことで、被害を最小限、最小化させる備えにつなげていきたい」などと述べた。