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東北工場で「第3回国連防災世界会議」スタディーツアーを実施/積水ハウス

14日に実施された実際のスタディツアーの様子。避難スペースを見学中
工場内に7日間分の備蓄品を整備している
「色麻町の事例は、町との良好な関係があってこそ実現した。今後も連携して取り組んでいきたい」などと述べる阿部社長

 積水ハウス(株)は14~18日の期間、仙台市で開催中の、世界各国の代表が国際的な防災戦略を議論する「第3回国連防災世界会議」の視察先として、東北工場(宮城県加美郡)においてスタディーツアーを実施。16日に報道関係者向けスタディーツアーを実施した。

 東北工場では、独自の「住宅防災」の考え方を基軸に、「防災未来工場化計画」として、太陽光発電設備や大型蓄電池、ガスエンジン発電機等を用い、平常時にも災害時にも役立つスマートエネルギーシステムを構築している。
 工場の立地する色麻町では、全国の自治体で初めて高速無線通信の免許を取得。「地域WiMAX(ワイマックス)」と呼ばれる高速大容量のデータ通信機能を活用して、防災・災害情報を住民や公共施設へ一括配信する情報連携システムを構築するなど、東日本大震災の経験を生かした地域防災に取り組んでいる。
 両者は2013年9月に防災協定を結び、以後、官民連携で地域防災向上に取り組み、災害に強いまちづくりを進めてきた。災害時には、工場敷地内併設の「東北・住まいの夢工場」内に避難所を設置し、250名分の避難スペースを確保。蓄電池・発電機および太陽光発電の3電源から電気を供給し、水、ガスの供給も可能とする。14年10月には実際に工場内に災害対策本部と避難所を設置し、総合防災訓練も実施した。

 今回のスタディツアーでは、そうした両者が連携した取り組みの経緯や、工場のスマートエネルギーシステム、積水ハウスが住宅メーカーとして取り組む先進的な防災機能・体制などを紹介。災害時に工場内に設置される避難スペース展示や整備されている備蓄品、また実際のエネルギーシステムを構築する設備などの見学会を実施した。

 16日の会見で挨拶した色麻町長の伊藤拓哉氏は「色麻町は東日本大震災での被害は大きくなかったが、停電や一部断水も経験しており、住民の防災への関心は高い。総合防災訓練では約200名が避難所での訓練に参加したが、避難場所があること、食料が備蓄されていることなどを実際に目にし、大きな安心感が得られたようだ」などと語った。
 また、同社代表取締役社長兼COOの阿部俊則氏は、「色麻町の事例は、町との良好な関係があってこそ実現した。東日本大震災の教訓から、電気や物資の供給確保も大切だが、一番重要なのは行政がどのように現状認識しながらすばやく対応できるか。今後も連携して取り組んでいきたい」などと述べた。


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