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東洋ゴム問題、安全性の確認とともに原因究明、再発防止策を検討/国交省

会見で委員の意見などを報告する深尾委員長(写真左)と北村副委員長(写真右)

 国土交通省は3日、「免震材料に関する第三者委員会」の第1回委員会を開催した。

 同委員会は、東洋ゴム工業(株)による免震材料の不正事案を受け、安全性の検証、原因の究明や、再発防止策等について専門的見地から検討し、国土交通省への提言を行なうことを目的に、3月31日設置したもの。

 委員長には首都大学東京名誉教授の深尾精一氏が、副委員長は東京理科大学教授の北村春幸氏が就任した。その他、東洋大学教授・弁護士の大森文彦氏、東京大学大学院准教授・清家 剛氏、東京都市大学教授・中川聡子、(独)建築研究所理事・西山 功氏の6名で委員会を構成する。

 第1回は、(1)不正な55棟の安全性について、(2)55棟以外の疑いのある建築物の安全性について、(3)原因究明および再発防止策の方向についての話し合いが行なわれた。
 会の冒頭、深尾委員長は、「免震技術は、国民の安全性を高めるという意味で大変優れた技術として開発されてきた。今回の問題で、建築に携わるさまざななポジションの人々の信頼、また免震建築物そのものに対する信頼が損なわれたのは大変残念。東洋ゴム工業は2007年にも防火・耐火偽装問題を起こしており、前回の再発防止策が有効に機能したのかを含め、今後の防止施策を検討・審議していきたい」などと述べた。

 委員会終了後の会見では、委員共通の意見として「問題の55棟については、設計時に想定した性能を回復するべく、東洋ゴム工業が示した方針通りに交換すべき」であるとする一方、「先日公表された『震度6強から震度7程度の地震で倒壊するおそれはない』という報告結果から見て、今すぐ心配な状況にあるわけではない」とした。
 また、55棟以外の疑いのある建築物に関しては「現在得られているデータの範囲では、製品のばらつきを示す数値のばらつきが一定の範囲におさまっており、製品の不具合度合が55棟よりは小さいことを確認。今後、個別の確認を進めていく必要があるが、安全上の問題が大きくなることは考えにくいという意見も見られた」などと報告。

 今後については、同社はISO9001を取得しながら、なぜ品質管理の観点から防止することができなかったのか、さらに詳しく調査する必要があるとし、次回以降の検討課題として現行の大臣認定制度を変更すべきか現状でいいのか、あるいは別の形でなんらかの担保をするべきか等、議論していくとした。


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