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社外調査チームによる中間調査報告書を公表/東洋ゴム

 東洋ゴム工業(株)はこのほど、同社および同社子会社が製造した大臣認定不適合の免震材料が使用された件に関して、社外調査チームによる「中間調査報告書」を公表した。

 社外調査チームは、小林英明氏を代表とした弁護士(長島・大野・常松法律事務所所属)10名で構成されており、調査は2月6日に依頼したもの。

 調査の目的は、「免震積層ゴムの性能検査において技術的根拠のないデータ処理が行なわれた事実およびその原因の解明」「技術的根拠のないデータ処理が発覚するに至る経緯、および発覚しなかった原因等の解明」「調査により判明した事実およびその原因等に即した再発防止策の提言」。

 調査では、当該免震材料に関す問題行為として、(1)大臣認定を取得する際の問題行為と、(2)各大臣認定における性能評価基準に適合したものとして各顧客に対し免震材料を出荷する際の問題行為という、2つの問題行為を確認。
 (1)大臣認定を取得する際の問題行為では、2002年6月17日から11年10月25日までの間、当該免震材料についての大臣認定として、合計5回の大臣認定を取得しているが、これら各認定の取得に際し、技術的根拠のない乖離値(または乖離値の平均値)を記載して申請を行ない、大臣認定を取得する等の問題行為を行なっていたことが判明。(2)出荷する際の問題行為では、04年7月から15年2月までの間に、合計55件の物件に対して、当該免震材料を出荷しているが、これらの出荷前の性能検査に際し、技術的根拠のない恣意的な数値を用いているにもかかわらず、出荷する免震性能が大臣認定の性能評価基準に適合しているかのように、社内担当者に対し説明し、真実を知らない社内担当者をして、実際には大臣認定の性能評価基準に適合していない製品を出荷させる等の問題行為を行なったことが確認された。

 原因および背景としては、「1、規範遵守意識の著しい鈍磨」「2、規範遵守意識の鈍磨を醸成させる企業風土」「3、管理・監督機能の脆弱性等」「4、会社としてのリスク管理の不備」「5、社内監査体制の不備」「6、経営陣の意識・判断の甘さ」「7、社内報告体制の不備」「8、社内調査体制の不備」「9、事業部門と比較した場合の開発技術部門及び法務・コンプライアンス部門の地位の脆弱性」「10、既存のガバナンス制度の不活用」「11、検査におけるデータ処理過程の記録化の不備」「12、(過去に起こしている)断熱パネル問題の教訓の不活用」を挙げている。

 なお同中間調査報告書は、当初判明した55棟以外に使用された免震積層ゴムについての問題行為を記載の範囲外としたが、今後の調査においては、55棟以外の免震積層ゴムに関して行なわれた問題行為をも調査の対象として、網羅的な調査を実施する予定。


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