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まちづくり、海外事業などに注力。17年度営利2,450億円目指す/三井不動産が新中計

「17年度営業利益2

 三井不動産(株)は13日、2015~17年度を期間とする中期経営計画「イノベーション2017 ステージII」を策定した。

 同社は、12年にグループの中長期経営計画「イノベーション 2017」を策定、国内事業の競争力強化とグローバル化への取り組みを進めてきた。計画策定から3年が経過し、営業利益1,630億円、当期純利益670億円、ROA(総資産利益率)3.8%程度という14年度の目標を1年前倒しで達成。14年度は史上最高益を更新したことなどから、15~17年度の3年度を計画期間とする新中期経営計画を策定した。

 新たな中計では、「国内事業競争力の一層の強化」と「海外事業の飛躍的な成長」を重点課題に据え、成長戦略を決定。

 まちづくり事業は、日本橋、八重洲など、都内で進めている主要プロジェクトを着実に推進。まちづくりに際して、単一用途ではなく、オン・オフの境目がなくなるライフスタイルに合わせて、魅力あるまちをつくることで差別化を図り、まちを経年優化させるマネジメントを遂行していく。

 オフィスビル事業では、「これからはスペースを貸すのではなく、オフィスライフを提供していく、という形にビジネスを進化させる」(同社代表取締役社長・菰田正信氏)ために、女性、高齢者、外国人にとっても働きやすい企画・サービスの提供やICTを活用した新しいワークスタイルの提案、同社グループならではの新たなサービス提供などを進める。物流施設事業では、三大都市圏および地方中核都市においてさらに投資を進め、16年以降に物流REITを設立し、投資家共生モデルを実現する。

 住宅事業では、購入者のライフスタイルの変化・多様化に対応し、子育て併設型、シニア向けには介護サービス付きの高齢者向け住宅などの開発についても進める。さらに、分譲・賃貸をまたいで住まい探しをする人が増えている状況を鑑み、15年10月にアコモデーション事業本部が担当していた賃貸事業を、三井不動産レジデンシャル(株)に統合。「三井のすまいモール」「三井のすまいLOOP」も含めたワンストップ対応をさらに進める。

 ホテル・リゾート事業は、インバウンドツーリストの増加を受けて、上級新ブランドの開発を進めるほか、まちの魅力の固めるラグジュアリーホテルの誘致などを進める。また「合歓の郷」の広大な敷地を生かしたアジアを代表するリゾート開発などにも取り組み、20年度には運営ホテル1万室体制を目指す。

 一方海外事業は、欧米では案件獲得に注力すると共に、東南アジアでは中国、マレーシア、台湾、タイなどにある事業パイプラインをさらに優良物件となるように仕上げていくことで、海外の事業比率を高める。

 こうした取り組みにより、17年度の営業利益2,450億円(14年度:1860億円)、海外事業利益300億円(同:120億円)、当期純利益1,300億円(同:1,001億円)、ROA約5%(同:4.1%)を目指す。海外事業利益比率は約12%(同:6.4%)と、14年の倍増を見込む。

 菰田氏は、「市場を創造しながら成長を続けるリーディングカンパニー、グローバルカンパニーとしての地位確立へ邁進する。顧客志向の経営、ビジネスモデルの確信、グループ経営の進化という3つのストラテジー実践をさらに進め、国内では顧客ニーズの多様化に対応するためにソフトの提供に舵を切る。海外では当社の強みを生かしつつパートナーの強みも組み合わせ、安定性・成長性富んだポートフォリオを構築していく」と抱負を述べた。


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