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全社的な構造改革を推進。創業工場も閉鎖/ミサワホーム

 ミサワホーム(株)は構造改革を本格的に推進する。14日に行なった2015年3月期の決算説明会で、代表取締役社長の竹中宣雄氏が内容を説明した。同社の15年3月期決算数値については5月8日のニュースを参照。

 15年3月期では、下期は堅調な数値を残したものの、上期の落ち込みをカバーしきれず通期では注文住宅が受注戸数7,182戸(前期比18.4%減)・受注高1,880億円(同17.3%減)に沈んだ。また、受注残高も1,066億円(同15.7%減)と大幅に減少し、16年3月期は厳しい条件からスタートすることになった。

 こうした状況を受け、今期は構造改革を進める。竹中氏は「当期は受注が厳しかった。就任当初からポートフォリオ多様化の必要性を訴えてきたが、当社が再生期間中であったこと、リーマンショックによる不況で本業の強化が急務だったことなどにより、遅れていた」と、本格的なポートフォリオ多様化を中心とした構造改革に着手すると明言した。

 新築関連では、10月に首都圏4社のディーラーを吸収合併し、首都圏エリアを直販化して効率的な販売体制・施工体制を構築。今後の中部・関西での直販体制確立も検討段階に入った。

 生産体制も再編する。創業時からの工場である松本工場を閉鎖し、生産機能を名古屋工場に移管。また、岩手工場については取引関係にあった住宅パネル生産会社・山梨住宅工業(株)(山梨県北杜市)に売却し、コストを変動費化した。「市場が活発な都市圏に生産体制を組んだ形」(竹中氏)という。

 ストック事業関連では、10月のディーラー再編に先駆けて首都圏各ディーラーの不動産部門を統合した「ミサワホーム不動産(株)」と、施工部門を統合した「ミサワホーム建設(株)」を4月に設立。ミサワホーム不動産では、売買仲介、買取再生販売などの不動産売買と、賃貸管理・サブリースを中心として展開。仲介業務では、一次取得者向けの土地仲介に加えて一般仲介、マンションの再生販売などにも力を入れていく。当面は体制整備に専念し、本格的な展開は10月以降になる。

 施主とのリレーション構築体制も強化。新築から5年目以降の施主との接点を強化するため、専任訪問員「住まいるアドバイザー」を組織化して、定期訪問による“御用聞き”を行なっていく。年度内に全国で100人規模の体制を構築する計画。

 竹中氏は「人員整理は計画していない。新規事業やストック事業に人員を配置する。今期は体制整備の年であり、効果は17年3月期から出てくるはずだ」と語った。


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