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30年暮らした二世帯住宅、98%が介護にメリット/旭化成ホームズ調査

 旭化成ホームズ(株)は26日、同社二世帯住宅研究所による「30年暮らした家族による二世帯住宅の評価と住まい継承の実態」の調査結果を発表した。

 同調査は、築30年前後の二世帯住宅のストックが世代交代期を迎えていることに着目。親世帯への介護経験や世代交代に伴う孫世代への住まい継承の実態などを明らかにすることで、「二世帯住宅」の住まい方の評価を行なうことを目的としている。
 調査対象は築29~32年のへーベルハウス二世帯住宅居住者。1,642件に郵送によるアンケートを発送し、有効回答は建設時の子世帯243件、建設時の孫世帯134件(単身・未婚者109、既婚孫世帯25)。

 同調査によると、「30年間を振り返っての二世帯同居の満足度合」は91%に。二世帯同居で良かったことの1位は「親の老後の世話」(70%)で、次いで「安心して旅行や外出できる」(55%)、「急病の時心強い」(55%)が続いた。また、二世帯同居で配慮が必要なことの1位は「ライフスタイルやプライバシーの尊重」(85%)、2位は「生活空間の分離」(82%)で、どちらも8割超となり、あらためて「空間や住まい方を分ける」ことの重要さがうかがえた。

 水回りの分離度の評価については、同居経験を踏まえての水回りの数の希望と実際の建築時プランを確認した結果、キッチン・洗面で2つ設置の希望度が高く、「洗濯機」についても、1つで計画した人の約半数が「やはり2つ必要」と回答した。ちなみに、「玄関」については1つでも許容されやすい傾向がみられた。

 介護面での評価については、親世帯がともに逝去した子世帯の76%が介護を経験しているが、そのうちの98%が介護にとって二世帯同居で何らかのメリットがあったと回答。二世帯住宅で良かったことの1位は「様子や気配が分かる」(87%)、次いで「すぐに親世帯に行ける」(86%)など、日常生活は別々にしながらも、二世帯同居ならではの距離と気配が介護に有効であることが明らかとなった。

 また、親世帯が逝去した二世帯住宅において、結婚し世帯を持った孫が、同居し住まいを継承している割合は24%。現状で孫世帯同居している数と、将来は同居したいとすでに考えている子世帯の数を合わせると、約4割にのぼり、将来の同居意向をまだ決めかねている子世帯の半数が今後同居志向すると仮定すれば、将来的な孫世帯による住まい継承は、5割程度まで達すると予想した。

 同社では、調査結果を踏まえ、孫世帯への継承や自己活用以外の選択肢開発を課題に挙げた。会見で、同社二世帯住宅研究所長の松本吉彦氏は「今後は既存ストックの活用や、両親が逝去され使わなくなった空き部屋の活用について、規制緩和の状況をみながら考えていきたい」などと述べた。


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