国土交通省は14日、第1回目となる「社会資本整備審議会住宅分科会勉強会」を開催した。住生活基本計画(全国計画)の見直しに向けた検討を進める中で、6月までに38回の住宅宅地分科会を開催。同分科会では、計画の目標と基本的な施策を示しており、9月までに個別論点を整理すべく勉強会を開催。今回は「住宅のストックマネジメント」について議論した。
勉強会では、分科会長代理の工藤和美氏(東洋大学教授)が、住宅をリノベーション・コンバージョンした全国の事例を紹介。団地を賃貸住宅に、住宅を保育園に、船の収蔵庫を旅館等に再生した事例等を示し、「既存のストックを活用するための促進法等があれば、活性化するのでは」等と話した。
また、臨時委員である中川雅之氏(日本大学経済学部教授)がこれまで住宅着工戸数の推移や持家需要指数・借家需要指数、将来の住宅需要や供給について数値を基に解説し、今後の住宅政策は新築需要が抑制されるとともに、中古住宅の循環等が求められるとした。さらに「旧耐震基準のストックの更新」や「高齢者をターゲットとした施設配置と連携した住宅供給」等への配慮が必要だとした。
臨時委員の藤木賀子氏(スタイルオブ東京(株)代表取締役)が、中古物件探しからリノベーションまでを一つの窓口で行なう「ワンストップサービス」について、実際の業務内容やリスクヘッジの重要性などについて解説。中小の不動産会社が同事業を行なうための課題として「専門知識を持つプロと顧客の接点の創出」や「物件情報のオープン化」等を挙げた。
これらの発表を経て、主な論点を整理。「住宅の計画的な維持管理を定着させるためには、住宅履歴を蓄積するだけでなく活用し、一元的な管理により広く開示していく必要がある」といった意見や、「既存住宅・リフォーム市場の活性化のためには、建物評価手法の改善やインスペクション等の定着に加え、ローンを付けやすくするための施策が不可欠」、「空き家の再生・活用等については、住宅を多用な用途に変更できる施策が必要」といった声が挙がった。さらに「建物も高齢化していく。20年後のストックの質がわかるようなデータが必要」等の意見もあった。
第2回となる勉強会は7月28日に開催。10月に改定案を示す方針。