ラサール インベストメント マネージメント インク(LIM)は、今年2月に発表した「グローバルにおける不動産投資戦略2015」の中間レポートを公表。マスコミに向けて概要を説明した。
グローバルな投資展望については、世界の不動産投資市場がピークへ向けて拡大を継続させていると指摘。取引金額は07年の8割程度にまで到達しているとした。クロスボーダー取引も旺盛で、15年第1四半期には、クロスボーダー取引が51%となった。
同社ではさまざまな資本市場サイクルの比較結果から、資本市場は8~12年の上昇の後に急落するという傾向を見い出しており、現在グローバルのほぼすべての不動産市場が回復期の6年目にあり、上昇傾向はあと数年続きその後後退期へと移行することが予想されるとした。
そのため、15~17年の投資戦略として、コア投資については市場後退期に備え優良不動産へシフトすること、新規開発などについては、おおむね3年以内という投資期間とした上で、安定したインカム確保を実現することがポイントとした。
エリア別の投資戦略については、アメリカは、中期の経済見通しが引き続き堅調なため、最低水準の空室率と共に、すべての不動産タイプでインフレ率を上回る賃料成長率が見られている。「優良動産は前回のピークである07年を超えてきており、利回りの上昇は見込んでいない」とラサール不動産投資顧問(株)投資戦略・リサーチ部責任者の高野靖央氏は説明した。投資対象として、ニューヨークやシカゴの一部、ポートランドなどのオフィスや、メディカルオフィス、駐車場、個人向けストレージなどへの投資に注目する。
欧州についても、引き続きイギリス・ドイツが経済の回復をリードしており、不動産利回りは07年の最低値を下回り、16年以降は上昇していくとみている。
アジアについては、経済要因が安定しており、供給も落ち着いている。今後、いくつかのセクターについては緩やかな賃料上昇が見込まれることから、低利回りにもかかわらず、不動産への資本流入が継続しており、「国によって差があるものの、日本、そしてオーストラリアが堅調」(同氏)で、コア投資では、この両国に着目しているという。
なお、日本のコア投資では、商業施設や主要都市圏での郊外型商業施設、高リターン投資では、住宅・オフィス等のリースアップやリポジショニング物件などを挙げている。