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「多様な居住ニーズの実現」「コミュニティ形成」テーマに勉強会/社整審住宅宅地分科会

 国土交通省は6日、2回目となる社会資本整備審議会の住宅宅地分科会勉強会を開催した。住生活基本計画(全国計画)の見直しに向けた個別論点を整理するためのもので、今回は「多様な居住ニーズの実現」と「コミュニティ形成」について議論した。

 勉強会では、分科会委員の斎藤広子氏(横浜市立大学教授)、臨時委員の奥山千鶴子氏(NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長)と末永照雄氏((公財)日本賃貸住宅管理協会会長)、現在の住生活基本計画策定に関わった園田眞理子氏(明治大学教授)が発表を行なった。

 齋藤氏は、自身がプロデュースした戸建住宅地「リビオ姫路大津ブルームガーデンのぞみ野」(姫路市大津区、全293区画)での取り組みを紹介。戸建住宅地ながら管理組合を組織し、住民が協力して。まちの管理に関与する、コミュニティを促す街区計画や集会室の設置、イベントによる居住者交流などを仕掛けることで、良好な居住環境と豊かなコミュニティ形成に成功。「マンションと違って全員参加の組織が作りづらい、協議に時間がっかるなどの問題点はあるが、行政の協力・連携があればもっと小さな住宅地でもこうしたまちづくりが可能になる」とした。

 末永氏は、賃貸住宅の長寿命化、質の向上のためには、適切な修繕と適切な評価が必要だとし、現在経費扱いすることのできない賃貸住宅の長期修繕積立金を、公的機関による指定法人が預かることで損金算入できる仕組みを作るべきと提言した。

 園田氏は、高齢者の安心・健康な暮らしを実現するため、現在国の進めている「地域包括ケアシステム」の基盤となる住まいの整備と充実が喫緊の課題であると指摘。現在、都道府県単位で立案している高齢者居住安定確保計画を市町村単位で行なうこと、計画期間・立案時期を介護・福祉分野と住宅分野で一致させることなどを提案した。そして「人口減、世帯減の局面では、新築の高齢者住宅を増やすことは空き家を増やすことにつながる」として既存住宅や既存建物の利活用による高齢者住宅の供給を積極的に行なうべきとした。

 また奥山氏は、商店街の空き店舗や空き家を使い、子育て支援拠点や地域住民の交流拠点を整備した事例を紹介した。

 同分科会は、9月にも勉強会を開催する。


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