(一財)日本不動産研究所(JREI)は16日、不動産取引市場調査(2001年上期~15年上期)の結果を発表した。
主に都市圏を中心とした投資用不動産取引について、JREIT、東京証券取引所、各種メディア等の公表事例を独自に収集。1万9,100件の取引事例について集計した。
不動産市場全般については投資不動産市場の取引金額は、07年上期の3兆円程度をピークに、08年下期のリーマンショック後は、半期で約1兆円規模まで縮小。しかし、13年上期には取引金額が大幅増加し、以来、半期で2兆円程度の水準を継続している。
アセット別では、物流施設が13年上期に取引額が大幅増加。オフィスでは14年に上期・下期とも大型取引が相次ぎ、06~07年の取引金額に匹敵する半期1兆円程度の規模となった。15年上期は、大型取引は一服したものの、依然として高水準を維持している。
取引主体では、私募ファンドが投資不動産市場の改善に伴い不動産を売却、REITがその受け皿になる、という潮流が明らかに。REITへの物件集約が、昨今の投資不動産市場の“モノ不足感”を生み出す要因の一つになっている、とJREIは見ている。
15年については、REITの買い越しが目立っており、外資系を含む機関投資家の動きが一服している様子が見られているが、外資系を含む期間投資家等はエクイティ出資等に対し引き続き積極的な姿勢を維持していることから、JREIは「投資不動産市場から撤退したわけではないと考えられる」と分析している。
また外資系プレーヤーの動向については、13年以降は売り・買い混在状況で、となっており、「外資系プレーヤーが『買い一辺倒』で、日本の投資不動産価格をつり上げているような状況ではない」と推測している。