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不動産会社のストック再生・利用、“APM”の視点が重要/国交省

 国土交通省は28日、2回目となる「不動産ストック再生・利用推進検討会議」(座長:早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授・川口 有一郎氏)を開催した。

 同検討会議は、不動産ストックの再生・利用を効率的に進めるため、その資金調達、収益化の方法や、今後の地域の不動産関連事業者の企画・経営のあり方を検討していくもの。数回の議論を経て、不動産関連事業者向けの「不動産ストック再生・利用 推進ガイドライン」をとりまとめるほか、具体的な制度の検討を行なう予定。

 1回目の会議では、資金調達手法等を中心に検討し、ヒト・カネが集まる「場の創出」が重要で、それに伴いファイナンスの可能性が生まれてくると分析。2回目では、地域における不動産関連事業者に求められる役割・機能、地方都市の中小不動産事業者が強みを発揮し期待される分野、不動産ストック再生・利用マーケットの拡大に必要な対応策などを検討した。

 不動産会社の不動産ストックの再生・利用ビジネスにおいて、地域不動産再生管理(エリア・プロパティ・マネジメント、APM)の視点で、「まちなかに必要なコンテンツの計画的な整備」「暮らし方のプロデュースと地域不動産再生のコーディネイト」「点から面のマネジメント」の推進が重要とした。また事業者には、エリア全体の共通価値となるコンセプト設定のもと、企画・設計、合意形成、収益化、情報発信、経営・運営といった総合的な対応が求められていくとした。
 
 事務局からは、全国の不動産会社等によるストックを地域の資源として活用・再生した事例とその成功要因の分析内容等を紹介。(一財)世田谷トラストまちづくり トラストまちづくり課長・浅海義治氏が空き家を地域の拠点等に活用するプロジェクトのポイントについて、米子信用金庫財務・戦略営業担当顧問の松田成哉氏が地方圏における不動産証券化・流動化のための留意点について、発表を行なった。

 委員からは「その地域ならではの豊かな暮らし・仕事の提案が重要」「地域に根ざした中心的プレイヤーの創出が必要」「地方では横の連携が必須」「コンサルティングフィーなどインセンティブの形を明確化すべき」等といった意見が出た。

 同省大臣官房建設流通政策審議官の海堀安喜氏は「地域のさまざまな業態の不動産会社の知恵を出し、地方自治体と一緒になって取り組んでいくことがカギとなる」などと述べた。

 なお、当初3回の会議でガイドラインを策定する予定だったが、第1回の会議で議論回数が足りない等の指摘があったことから、11月に3回目を開催。再度、低・未利用不動産活用における資金調達手法等を議論した上で、2016年2月に開催予定の第4回会議でガイドライン案を示し、同年3月にガイドラインを発表する予定。


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