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「都心」「高額」で差別化。マンション1棟リノベ事業を立ち上げ/東急不動産

「マジェスタワー六本木」外観。エントランスは、木製ルーバーを新設するなどして分譲住宅らしい温かさを演出。植栽も背の高いものへと入れ替えた
エントランスホールは、黒檀の突板を壁面に張り込むなど高級感を演出。新たに防災倉庫も設け、エレベーター内部やフィットネスルームも内装や機器を一新
最上級の「プレミアム」プランは、フルスケルトン後、間取りまで含めて改修。天然石張りの床や突板仕上げの建具など高級部材をふんだんに使用する
「スタンダード」「スーペリア」プランは、既存の設備機器をうまく流用しながら、ピンポイントで改修する。高級賃貸住宅のため、もともと設備機器のグレードが高く、手入れをするだけで十分流用できた

 東急不動産(株)は、マンション1棟リノベーション事業「MAJES(マジェス)」を立ち上げ、第1号物件となる「マジェスタワー六本木」(東京都港区、総戸数83戸)の販売を開始した。

 同事業は、リノベーションニーズの高まりへの対応と、年々開発環境の厳しくなっている都心新築分譲マンション事業を補完する目的で開始したもの。ファンド等が売却する都心の高額賃貸マンションを仕入れ、共用部・専有部をバリューアップしたうえで販売する。賃貸中の住戸は賃貸住戸としてそのまま運用。退去した住戸から順次リノベーションし、販売していく。

 東京3A地区を中心に、都心3区の希少性のある立地の物件だけを厳選。新築マンション「ブランズ」の高額物件と同仕様の品質への改修とアフターサービスを実施する。事業展開にあたっては、販売(仲介)は、東急リバブル(株)、管理は(株)東急コミュニティー、PMは東急住宅リース(株)とグループシナジーを生かす。

 「マジェスタワー六本木」は、東京メトロ日比谷線「六本木」駅徒歩5分に立地する、地上27階地下3階建ての賃貸マンション。2006年築で、14年12月にファンドから取得。共用部は、エントランス側面に木製ルーバーを設置。柱の仕上げ石を張替えた。ホールは黒檀の突板を壁面に張り込むなど高級感を演出。新たに防災倉庫も設け、エレベーター内部やフィットネスルームも内装や機器を一新した。

 住戸は、スタジオタイプ~2LDK、専有面積42~118平方メートル。空室30戸を順次改装している。リノベーションは「スタンダード」「スーペリア」「プレミアム」の3パターンを展開。もともと高級賃貸物件として、設備仕様や仕上げが充実しているため「スタンダード」では、クロス、キッチン、水回りなどを交換したほかは、既存設備を化粧直しするだけにとどめている。「スーペリア」は、「スタンダード」に加え、建具や照明、リビング床も交換。高層住戸を中心とした「プレミアム」は、フルスケルトンにした上で、間取りや設備を一新する。

 現在販売中の6戸の販売価格は、6,610万~1億9,960万円。平均坪単価は、650万円中盤。「スタンダード」「スーペリア」「プレミアム」の単価差はそれぞれ坪30万円程度で、売買契約後グレードアップに応じるほか、未改修のままの引き渡しも受け付ける。賃貸居住者を中心に、都心居住を志向するハイエンドユーザー、インバウンド需要などをターゲットに販売を進める。

 8日会見した同社住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部プロジェクト事業第一部グループリーダーの一色 圭氏は「都心部での新築分譲マンション開発適地が少なくなり、ユーザーニーズを満たすことができなくなっている。この事業で、そうしたニーズを満たしていく。年1、2棟をコンスタントに手掛け、年間売上高100億円を目指す。第2弾は、港区元麻布の低層マンションを予定している」などと語った。


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